八重山行き/かまどま荘
石垣島から連絡船を乗り継いでついたのが、船浮という人口50人ぐらいの集落だ。
小さな部落だけど、桟橋はなかなか立派である。
わたしは日本国民として、沖縄の人たちには肩身のせまい想いをずっといだいてきたから、桟橋が立派であることになんの異存もない。
桟橋から宿の 「かまどま荘」 まで徒歩30秒くらいだ。
スイマセン、予約してある者ですと声をかけると、若い娘さんが出てきた。
これがこの宿のおかみさんだった。
いや、おかみさんというと語弊がある。
“おかみさん” という言葉には、太って陽気な40、50代の主婦というイメージがあるけど、出てきたのはアスリートのようにきりっとした若い女性で、わたしなんかからすればまだ娘みたいな人だった。
こういう人をなんと呼べばいいだろう。
“女将” というと和服を着ていなければならない。
“マダム” というとダイヤの耳飾りをつけていなければならない。
どうもいい言葉が思い浮かばないねえ。
彼女はパンを焼くのが趣味で、ふだんでもダブルボタンの白いコックさんみたいな制服を着ていることがある。
シェフなんてのはどうだろう。
彼女には2人の子供がいるから “ママシェフ” だな。
うん、これで行こうと、水中写真という目玉を失ったわたしはロクなことを考えない。
ここに載せた写真は、いちばん上が桟橋のようすと、2番目が桟橋から見た集落のようす。
下はかまどま荘のあたり。
あまり秘境には見えないけど、それもそのはず、電気・ガスは当然として、インターネットもつながるし、ということはここは世界ともつながっていることになる。
どうもいまどきの世界にほんとうの意味での秘境なんて存在しないようである。
そしてかまどま荘では、焼きたてのパンさえ食べられるのである。
わたしは和食の食べられるところで、無理してパンなんか食べない人間であるけど、友人たちにすすめられてちょいとかじってみた。
グーである。
ということで、始祖鳥かなんかが飛んでんじゃないかと期待していた船浮については、ちょっと想像とちがっていたけど、集落の背後にはほんものの、原始のままの秘境が広がっているというのはウソじゃない。
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