八重山行き/ぶーの家
こないだ 「ためしてガッテン」 を観ていたら、カレーのなかの細菌には、加熱するとよけいに増加するものがあるなんていっていた。
手を洗うと逆効果なんて細菌もいるそうだ。
へえっと感心。
細菌のしぶとさに感心したわけじゃなく、そんなに細菌に神経質になってどうすんのといういう意味の感心。
わたしはカレーというのは食あたりしにくい食べ物だと思っていた。
だいたいカレーで食あたりなんて聞いたことがない。
ひょっとするとカレーのあの辛味には殺菌効果があるんじゃないかと思っていたくらい。
いくらがんばってもこの世から細菌を完全に根絶するなんてことはできっこないのだから、そんなに危険視して敬遠ばかりしていると、人間の体にそなわっている自然の抵抗力をますます減少させるだけじゃん。
そういう話題とはまったく、ぜんぜん関係ないけど、西表島では 「ぶーの家」 という食堂で2回もカレーを食べた。
ぶーというのはこの家で飼われているイヌのことだそうだ。
あいにくわたしたちが行ったときその姿は見えなかった。
店の主人は品のいい女性で、地元の人ではなく関西出身だという。
関西出身の女性がどうして西表島で食堂をやっているのか、詳しい事情は聞いてみなかったかわりに、ヒトのわるいわたしは、若いころはさんざん男を泣かせたんじゃないですかなんて訊いてしまう。
サマセット・モームの小説にはよく、本国から遠くはなれた異郷で、ホテルやレストランを営む英国婦人というのが出てくるけど、この人にもきっと恋愛や結婚やその破たんや、あげくの果ての厭世観など、いろいろ波乱万丈の過去があったにちがいないと、勝手に空想するのは楽しいことである。
ウチの亭主ですか。
いま町内のゲートボール大会に行ってますよなんていわれるとぶっこわしだから、あまり深く追求しないのである。
わたしたちは屋外のテラスで食事をした。
テーブルの上に 「ナショナル・ジオグラフィック」 や田中一村の画集、離島の写真集などが置かれていた。
東京のレストランや床屋でさえ、マンガや週刊誌ぐらいしか置いてないことを思えば、なかなかレベルの高い店である。
食事中、向こうの木の枝に赤い鳥がとまった。
双眼鏡を持っていなかったのでビデオカメラの目いっぱい望遠側で撮っておき、あとで確認したらアカショウビンだった。
ああ、あいつはこのあたりで子育てをしてるよと、これはかまどま荘の主人の話。
こんなめずらしい鳥が人家の近くで見られるのである。
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