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2013年8月17日 (土)

馬の胴体の中で

いうだけいってさっぱりしちゃったのか、今朝の新聞には、終戦の日の安倍クンの発言に対する海外の反響がひとこともないね。
前日までは 「ついに最後の一線を越えた」 なんて、中国・韓国とも激しい怒りの声に満ちていたのに。
靖国参拝は断念させたんだから、ま、いいかと、あとはまたひたすら日本との友好にまい進してくれるならいいんだけど。

それにしても毎年くりかえされる靖国問題。
日本の軍部が悪いってことで、日本国民のなかにも東条英機をヒトラーになぞらえる人もいる。
まえから気になっていたんだけど、日本とドイツを同じ見方で断罪しようというのは正しいことだろうか。

小熊秀雄という作家がいた。
彼は戦前の左翼作家で、当時は世論がこういう作家にきびしかったから、彼は仕事を干され、困窮のうちに亡くなった。
官憲のせいにするのは簡単だけど、当時はおおかたの国民が左翼作家を反社会的な存在と考えていた。
国全体がファッショだったようなものだ。

 私は生まれながらの唖(おし)でなかったのを
 むしろ不幸に思いだした
 もう人間の姿も嫌になった
 ふるさとの馬よ
 お前の胴体の中で
 じっと考えこんでいたくなったよ
 『自由』 というたった二語も
 満足にしゃべらして貰えない位なら
 凍った夜、
 馬よ、お前のように
 鼻から白い呼吸を吐きに
 わたしは寒い故郷へかえりたくなったよ

これは発言を封じられた小熊秀雄の詩である。
国民のなかにもっと、エジプトの民衆みたいに政府に対して反抗的な人が多かったら、彼に手をさしのべる人もいたんじゃないかと思う。
でも戦前は政府の方針を支持している人のほうがずっと多かった。
みんな指導者のいうことを素直に信じていた。
赤紙1枚で召集される兵士の背景に、日の丸の小旗をふる大勢の民衆がいるけど、あの人たちがすべて政府のやり方に反抗していたらどうなっただろう。

そんな従順な国民が、敗けがこんでくると、なんだなんだこれはと文句を言いだす。
悲惨な結果になったのはぜんぶ政府がわるかった、軍部が悪かった、東条英機はヒトラーだって叫びだす。
これって、震災まえは文化生活に安住していて、震災後はあそこがケシカラン、ここが気にくわんと文句をいう人たちとどこか似ているように思ってしまう (のはへそまがりのわたしだけだろうか)。

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