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2013年10月 6日 (日)

Чекист

Ce02

凄惨な映画を観た。
ロシアの映画で、タイトルはЧекист、英語にすると Chekist となる。
ロシア語翻訳システムで訳したら 「非常委員会員」 と出てきたけど、さらに調べてみたら、これはレーニンによって設立された秘密警察 (CHEKA) の要員のことだった。

CHEKAはそもそもは反革命分子を弾圧するためにつくられた組織だけど、やがて弾圧の範囲を広げ、知識人、貴族、ユダヤ人、軍人、聖職者、そして彼らの家族などかたっぱしから逮捕し、ほとんど裁判もなしに処刑することとなった。
外国人に道を教えただけでスパイとして処刑された人もいたという。
つまりその後の共産主義国で繰り返される粛清のお手本を示したわけだ。

カラー映画だけど画質はあんまり鮮明とはいえないから、最初はかなり古い映画かと思った。
しかしCHEKAはソ連崩壊のころまで存在していたというから、その残虐ぶりを描く映画がソ連時代に制作されたはずがない。
映画について知りたいとき、わたしはすぐにネット上の映画データベースに当たることにしているけど、この映画については日本では公開されたことがないらしく、日本のそれに記載がなかったから米国のデータベースに当たってみた。
あちらの映画データベースによると、1992年のロシア映画だった。
これはゴルバチョフが失墜して、ソ連という体制が崩壊した直後である。 ナルホド。

Ce01

凄惨な映画というのはこういうことである。
主人公は人々に処刑の判決をくだす、冷酷なCHEKAの査問官である。
彼は短い尋問だけで、ほとんど即決で死刑の判決を下す。
逮捕された貴族の母親が、なにかのまちがいです、この子はまだ18歳の学生なんですといって、自分の娘を彼のまえで裸にしてしまう。
色仕掛けでもなんでもいいから、とにかく娘の命を助けたいという一念だろうけど、査問官はまゆひとつ動かさずに、「連れていけ」 という。

Ce03

処刑される人々は地下室に連れ込まれ、5人ひと組になって、男も女も関係なく、全裸にされたうえで射殺される。
死体はまるで屠殺された家畜のように、足をロープでゆわえられ、さかさ吊りのまま地上に引き上げられてトラックに積み込まれる。
映画はこうした場面もリアルすぎるくらいリアルに描く。

査問官の冷酷ぶりは、映画の中で、彼が性的に不能だったのが原因と語られるけど、処刑の現場に立ち会う彼はしだいに精神に異常をきたしていく。
このあたり専門の批評家なら、殺人システムの下で、宗教とイデオロギーと生命の尊厳のはざまで崩壊する人間のたましいがなんとかかんとかと説明するんだろうけど、単純な脳細胞のわたしはそういムズカシイことはいわない。
いってもいくらかもらえるわけじゃあない。
見応えのある映画で、終わったあとで厳粛な気持ちになった映画とだけいっておこう。

PS. 画質のわるい映画と書いたけど、じつはわたしが最初に観たのは、ダビングを何回も繰り返したあとのものだったらしい。
その後、この映画についてはオリジナルらしい鮮明な画質の映像を観た。

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