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2013年10月 3日 (木)

NG誌の10月号

街へ出たついでに図書館に寄ってみたら、ナショナル・ジオグラフィックの今月号が出ていた。
写真では定評どころか権威さえ生じているこの雑誌が、今月はズバリ、「写真の力」 という副題つき。
写真に関心をもつすべての人に読んでほしい特集である。
これを読めばなにかテクニックが身につくってわけではないだろうけど、写真というものの本質について啓蒙されることはあると思う。

この特集の中に最近のデジタル・ブームにふれた個所がある。
コンパクトなデジカメやスマートフォンによる素人の写真が花盛りで、ネットで個人が写真を発表できて、ヘタウマやウマヘタが混然としてくると、どんな写真がすばらしいのかプロも困惑してしまう。
困惑している人は、たまにはこの雑誌の写真を観ることだ。
むかしわたしに向かって、いい写真もわるい写真も個人の主観の問題だからといったバカがいたけど、いい写真というのは現実にあり得るのである。

今回の記事でおもしろかったのは、米国人の顔のアップをずらりとならべた特集。
米国では現在でもさまざまな民族が流入していて、いろんな血が入り混じっているから、米国人の顔はどんどん変化しているということの実証であるらしいけど、むかしの免許証の写真みたいな、色気もなにもない不細工な顔がずらりとならんでいるのは壮観だ。
2代も3代も混血が続くと、どこのナニ人なのか本人にもさっぱりわからなくなるだろう。
それでもお役所にはいちおうナニナニ人と届けなくちゃいけないらしい。
                                        
現在進行形で民族がこれほど活発に入り混じっているのは米国くらいじゃないか。
つくづくこの国は特殊な事例の実験台であることよと思ってしまうけど、マイノリティーが増えれば貧乏人が増え、貧乏人が増えれば彼らの声が大きくなって、医療保険改革法も成立するかもしれないし、金持ちの味方の共和党はますます先細りだから、ま、いい傾向かもしれない。
米国のお役所がしちめんどくさくなって、書類から国籍や民族を書く欄を削除したら、そこではじめてこの実験は成就したといえる。

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