タウナギ
もうすぐバリ島に行く予定なので、例によっていろいろ調べている。
バリ島といったらリゾートである。
しかしわたしが高級ホテルで美女をはべらせて、洋酒の杯をかたむけるなんてことを想像してはいけない。
もちろん環太平洋経済連帯協定(TPP)の後始末に関係があると思われても困る。
しばらくまえにテレビでバリ島の紀行番組を観たら、名物の棚田が出てきた。
棚田は日本にもたくさんあって、自然景観の保全や生態系の維持などに貢献しているけど、あちらではライステラスといって、田んぼを見たことがない欧米人観光客にけっこう人気があるらしい。
田んぼというと郷愁を誘われるものである。
バリ島の棚田は日本のそれより自然が豊かなようで、以前録画したテレビの紀行番組のなかにも、子供たちが夜になるとタウナギを獲りにいくシーンがあった。
夜間に子供たちが連れだって田んぼへ出かけていき、懐中電灯で照らして、じっとしているタウナギを鉄バサミでばしっと鋏んで捉まえる。
子供のころわたしも田んぼへドジョウをつかみに行ったことがあるので、こんなシーンを見るとひじょうになつかしい気持ちがした。
ただし、わたしの田舎 (北関東) にはドジョウならたくさんいたけど、タウナギなんて見たことがない。
タウナギというのはアナゴやハモ、あるいはウツボを小型にしたみたいな淡水魚で、日本では沖縄以南の温暖な土地に棲息しているらしい。
おもしろい。
わたしがはじめてタウナギを見たのは中国においてである。
中国の市場はカエルだのスッポンだのザリガニだの、郷愁あふれる天然の食材がいっぱいで、自称ナチュラリストのわたしには興味のつきない場所だった。
ここでバケツの中にうろうろにょろにょろ、ひと盛りいくらで売られていたのがタウナギだ。
なにしろはじめて見た生きものだから、最初は海のものとも川のものともわからなかったけど、バケツのわきに解体されたタウナギの骨がうず高く積まれていて、中国では食材としてなかなか人気があるもののようだった。
できあがった料理を写真でみると、どぜう鍋とあまり変わらないから、きっと美味しいにちがいない。
最近の日本ではドジョウでさえ、おいそれと田んぼで見られなくなった。
カエルもいないし、ゲンゴロウ、タイコウチ、ミズカマキリなんて水生昆虫もそうである。
バリ島にはそんな絶滅危惧種がごろごろしているらしい。
今回は団体ツアーだから、夜の田んぼへタウナギを探しに行けるかどうかわからないけど、わたしの目的はあくまでそういうところにあるのである。
美女に誘われても、たぶん行かないと思う。
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