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2013年12月 8日 (日)

カティンの森

すこしまえにЧекист、英語でChekist という凄惨な映画を観たと、このブログに書いた。
そんな凄惨な映画の第2弾というか、BSでアンジェイ・ワイダの 「カティンの森」 という映画が放映された。
歴史に詳しい人ならタイトルを聞いただけで内容がわかりそうな映画である。

第2次世界大戦のときに、ソ連軍がポーランドの将校を大量に虐殺した場所がカティンの森だ。
虐殺というとついドイツの十八番のように思ってしまうし、じっさいにソ連はこれをドイツの仕業ということにしていたけれど、冷戦後になってスターリンの命令でソ連軍が行った蛮行であることがあきらかになった。
敵国の (あるいは自国の) 優秀な人間を抹殺してしまえば、あとは簡単だと考える独裁者は往々にしているもので、スターリンの行為はのちのち北朝鮮やカンボジアで繰り返されることになる。
その凄惨さから、NHKもさすがにゴールデンタイムの放映は控えざるを得なかったようだ。
                                             
アンジェイ・ワイダといえば 「灰とダイヤモンド」 という名作で知られる監督だけど、「カティンの森」 はそれに比べると寓意性、象徴性にちと欠けるものの、なにしろ殺戮される側の名監督がそれを描いた映画だから、まあ最近ではめずらしい、「戦場のピアニスト」 みたいな重厚な作品に仕上がっている。
ポーランド人のワイダ監督にすれば、ソ連が崩壊して言論の自由が復活したいま、この映画だけは撮っておかなければならないという使命感のようなものがあったにちがいない。

話は変わるけど、ポーランドというとドイツやソ連に侵略された悲劇の国ということで、戦争被害者という目で見られることが多いけど、わたしはそれ以前の歴史もすこしはかじったことがあって、ポーランドが他の民族への加害者になった過去があることも知っている。
ヨーロッパという地域はひとくくりにできない複雑な歴史を持ち、卍どもえのようなさまざまな民族間の対立抗争があった場所であることを忘れちゃいけない。
いま秘密保護法でごたついている日本なんか、これに比べたらむかしから天国みたいなところに思えてしまう。

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