耳の手術
先輩の耳がイカれちゃって入院手術をするのだそうだ。
これを聞いてなつかしい?思い出がよみがえってきた。
わたしもむかし耳の鼓膜再生手術なんてものをしたことがある。
ダイビングをやりすぎて、もともとあまりよくなかった鼓膜に穴があいてしまったのだ。
こういう手術はやはり権威あるお医者さんがいる病院がいい。
それで (とくに名を秘す) 某大病院に出かけた。
しかし、ああしかし、わたしみたいな世間的に有名でもないし、生きていてもあまり人類に貢献しそうもない人間が、そんなエライ先生自らの執刀を望むほうがムリだったのだ。
鼓膜を再生するためには、頭蓋骨の一部をパカッと開かなければいけないという。
聞いただけで、気のよわい人なら失神しかねないオソろしい手術だ。
しかもそれを局部麻酔でやるのだ。
つまり執刀中の医師の会話も聞こえてしまうのだ。
まな板の上の鯉ってのはこんな具合かと観念して手術を受けた。
頭蓋骨を開くためには、まずドライバーみたいなものでまわりに穴をあけるらしい。
ガンガンという衝撃が伝わってくるけど、勢いあまって脳ミソまでつらぬくことはないのだろうかと不安になる。
どうも新米の医師の練習材料にされているようだ。
ダメじゃないかという先輩医師の叱責の声が聞こえる。
なにがダメなんだろうとますます不安になる。
そんなこんなで手術中は生きている気がしなかったけど、現在無事でいるのだから手術は成功したといっていい。
というわけではない。
それ以来、わたしの左耳は完全に聴こえなくなったのである。
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