ゼロ・グラビティ
観てきました、映画 「ゼロ・グラビティ」。
原題はただのグラビティで、ゼロをつけると無重力ということになる。
ただし、ちょいとしたSFファンなら知っているとおり、人工衛星がまわる宇宙空間に無重力ということはありえず、これは本来は無重量とか自由落下とよばれる状態のことをさす。
でもここではとりあえず世間に膾炙した 「無重力」 ということで話をすすめよう。
どうせアホな映画だろうと予想したことは、このブログに書いた。
観終わった感想をいわせてもらえば、まともな映画といっていいものだった。
つぎからつぎへと危機がおそうけど、それをご都合主義だなんていっていたら、そもそも映画が成り立たない。
最近のアメリカ映画を観ていると、大爆発で吹き飛ばされた主人公が、つぎの瞬間にはもう起き上がって飛んだりはねたりなんて場面がよくある。
え、脳ミソや腹わたに損傷を受けなかったのかよとヤジを入れたくもなる。
そういうデタラメな映画にくらべれば、この映画のスリルやサスペンスは、そういうことがあってもおかしくない範疇にあり、わたしはまあいいんじゃないかと納得してしまうのである。
宇宙技術に関してはすでに多くの蓄積を持ち、現実にスペースシャトルを飛ばし、SFファンも多いアメリカのことだから、さぞかし凝り性の大勢のスタッフが、太陽はあっちで地球の反射光はこっちだから、光りの当たり方はこうなる、宇宙ヘルメットのゴーグルには地球が写りこまなくちゃ、なんてやたらに細部にこだわり、無重力の世界ではあれはこうなるはずだ、これはこうなるはずだと議論をたたかわせつつ映画を仕上げたにちがいない。
ヘタにいちゃもんをつけると、かえってこちらの無知をさらけだすことになりかねない。
そこへ最新のCG技術が加わって、無重力状態の映像は文句のつけようがないものになった。
漆黒の宇宙空間をただよう飛行士の孤独感もまずまず。
でもまあ、「2001年宇宙の旅」 のような、何度も観たくなる映画でもない。
それでももういちどだけは観てみたい気もする。
この映画は 3D映画なんだけど、たまたまわたしが観にいったとき、まん中へんの席が空いてなくて、はじっこのほうに坐らせられてしまった。
これではほんとうの意味で立体感を楽しめないのである。
もういちど、こんどはまっ正面からこの映画に向き合ってみたい。
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