ロシアⅡ/作品あれこれ
再訪問だけど、トレチャコフ美術館にロプヒナ以外にも意外と思える事実がいくつか。
最初の絵は、ヴァシリー・ポレノフの 「キリストと罪人」 という絵である。
これはじつはサンクトペテルブルクのロシア美術館にある絵がホンモノというか、なんというか。
ホンモノは縦が3メートル、横5メートルもあるような巨大な絵だ(2番目の写真)。
それがトレチャコフ美術館にもあった。
ただしこちらは縦が数十センチの小さな絵だ。
構図はまったく同じだけど、よく見ると筆のタッチも雑だし、ようするに習作というか、あるいは注文主にあらかじめこんな絵を描きますという説明のための絵らしい。
3番目の絵もポレノフで、うん、これもどこかで観たような。
これもロシア美術館にほとんど同じ構図の絵がある (4番目の絵)。
ただしあちらでは女性が水のほとりにたたずんでいるのに対し、こちらはベンチに座っている。
画家もいろいろ試しているらしい。
構図としては、いろんな想像ができるぶんだけ、わたしはあちら(ロシア美術館にあるもの)のほうが好きだねえ。
そのつぎはヴェレシチャーギンという画家の絵 (5番目の絵) だけど、この人は従軍画家として有名で、戦争をテーマにした絵をたくさん描いている。
最後に日露戦争で乗っていた艦が沈没して死んだというから、日本ともまんざら縁がなかったわけじゃない。
まだニコンやキャノンがなかった時代の、いわば戦場カメラマンみたいな人だけど、わたしは彼の絵を観てつまらないことを思い出した。
2年前にイスタンブールへ行ったとき、イギタルプというホテルに泊まり、その食堂に掲げられていた有名画家の絵 (6番目の絵) のことである。
上はヴェレシチャーギンのもの、下はイギタルプにあったもので、いっしゅん同じ画家の作品かなと思ったくらい似ている。
よく見ると従軍画家の作品には悲惨さがあり、もう一方はただの風俗画だから、別人の作品だろうけど、ロシアとトルコってのは黒海をはさんで意外と近いのである。
レーピンの 「皇女ソフィア」 という絵を観て、その衣服の質感表現にあっけにとられたわたしであるので、今回はその表現の秘密に肉薄してみた。
至近距離からみると、ただ絵の具を塗りたくったようにしか見えないものが、5メートルはなれると下の写真のようになってしまうのだ。
まるで魔法だね。たまげるね。
とはいうものの、皇女ソフィアにはあまり会いたいとは思わない。
ヘタするとうなされそうで。
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