ロシアⅡ/自然保護公園のB
しばらく行くと木立のあいだに白い教会が見えてきた。
この写真で見ると新しそうだけど、壁には1529という年代の刻まれたパネルが取り付けられていたから、けっこう古い建物のようである。
そのへんから白いヒゲの神父さんが出てきそうだけど、教会のまえに場違いな乗用車が停められて、現代の神父さんはガソリン車で乗りつけるらしかった。
近くに番小屋みたいな粗末な家があり、番犬の役に立ちそうもない人なつっこい犬が飼われていた。
教会の近くには苔むした石棺の置かれた墓地があった。
石棺はそうとうに古いもののようだけど、そのうちのひとつに新しい花が添えられていたから、教会はいまでも、たまには葬式や婚礼に使われているようである。
柩を地面に置いたままというのはむかしのロシア方式らしい。
すると置かれた当時なら中身もあったのではないか。
遺骸が百年も経つとどうなるのかわからないけど、当時のロシアの人文について、柩の中に貴重な証拠の断片が残っているかもしれず、ナショナル・ジオグラフィックあたりが取材に来そうなものだ。
この教会から、小川のほとりへ下るための遊歩道が作られている。
小川にそって雪の上を歩いていくと、小さな池があって、フナみたいな魚が浮いていた。
夏の写真でみるとこれは養魚池のようである。
自称ナチュラリストとしては、つまらないことばかりに興味を持ってしまう。
やがてモスクワ川のほとりに出た。
堰堤がきちんと整備され、カモやカラスがたくさんいて、餌をやっている人もいる。
このへんまでくると散策している人は多く、観光クルーズ用の船着き場もあり、野良ネコまでうろうろしていた。
片側の丘の上にロケットのようなかたちをした白い建物がある。
これはヴォズネセニエ教会 (昇天教会) という有名な寺院らしいけど、遅い時間になっていたし、そこまで行くのがおっくうで、横目にながめて通り過ぎてしまった。
ったく、なにをしにモスクワへという声がまた聞こえそう。
船着き場のあたりでそろそろ引き上げることにした。
ここからいちばん近いゲートまでのあいだには、売店やバーベキューの施設などがあり、この季節以外なら家族の行楽地にふさわしいところである。
金髪クンがバーベキューの値段を訊いてみたけど、値段が折り合わないというので、ここで食事をしていくのはやめた。
この日もずいぶん歩いたような気がしたので、あとで地図を計ってみたら、公園の中を歩いたのはせいぜい3~4キロぐらいだった。
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