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2014年3月13日 (木)

ロシアⅡ/ノボデヴィチ墓地

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お墓が好きだなんていうと、また、この変人がといわれてしまいそう。
でもお墓が好きって人はほかにもいるんだよ。

  わたしは墓地へ行くのがいつも好きだった
  はじめは遊びに栗拾いに
  それからこころをかきむしる墓碑銘を読みに (中略)  
     初めの信じやすい衝動にうらぎられて 
     わたしはもう墓碑銘を読まない
     墓石の上には茶色の栗の実が音をたてて落ちている
     ああ 栗の実を拾う少年はいまどこに
  しかしわたしはまた墓地にいく
  昔のように
  古い塀づたいに歩いていけばほぼその中ほどに
  忘れられたひとつの墓が見つかる

これはずっと前にも引用したことがある、1984年にノーベル文学賞を受賞したチェコの詩人ヤロスラフ・サイフェルトの作品だ。
あの世なんて信じてないわたしだけど、お墓は亡くなった人を思い出し、自分が故人になったつもりで、人生の悩みや疑問について自問自答できる場所なのだ。
墓碑銘が読めればもっと楽しいはずだけど、それはちとムリ。
でもロシアの墓地は彫刻美術館みたいなところがあって、さまざまな意匠をこらした墓石をながめているだけでも楽しい。

おかしな道を教えられて迷ったものの、どうにかノボデヴィチ修道院にたどりついて、ところがまたそこで失敗。
墓地は修道院の外、南側の壁に接していると、ガイドブックにそう書いてある。
だからわたしは修道院には入らず、壁にそってぐるりとその周囲をまわってみた。
修道院のかたわらに雪の積もった平地があって、冬に見ると畑でもあるのかなと思ってしまうけど、夏の写真で見るとこれは池のようだった。

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池のまわりに遊歩道がある。
ぼんやり歩きながら思索にふけるにはいいところで、チャイコフスキーもここで 「白鳥の湖」 の構想を練ったそうだ。
しかし墓なんかありそうもない。
子供を遊ばせていた奥さんに尋ねると、修道院の正門のへほうを指してなんとかかんとか。
さっぱりわからないから、すこし先で散歩していた老人にまた訊いてみた。
見つからないのも当然だった。
壁の外側にあるとばかり思っていたけど、墓そのものも壁に囲まれており、この壁は修道院の壁とつながっているから、知らない人間には墓も修道院の内側にあるように見えてしまう。
壁の外側をいくら探しても見つからないのは当然だった。

上の写真は、手前の赤レンガが墓地の壁、白い塔から先は修道院の壁ってことになる。
下の写真は墓地の入口。

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