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2014年4月13日 (日)

ネルの着物

536a

前項を書いたあとで 「葉ザクラ」 という言葉がちと気になった。
田中冬二の詩に 「暮春・ネルの着物」 という作品があって、その中にこの言葉が出てくるのである。
読みたいと思ったけど、わたしの書斎は大粛清のさなかで、彼の詩集もとっくに処分されてしまったみたい。
こういうときはどうするか。
この詩人は明治の人だから、ひょっとするともう著作権が切れて、ネットの 「青空文庫」 に作品が掲載されてるかもしれない。

そう思ったけど、生まれは明治でも、亡くなったのは昭和55年だそうで、おもに活躍したのは昭和に入ってからの人だった。
これではトッテモ著作権が切れているはずがない。   
前出の詩は戦前の1929年に発表した詩集のなかに含まれているものなので、公開されてからは85年が経過している。
こういう場合はどうなるのか。
まあ、そうカタイこといわなくてもいいじゃんと、また勝手な言い分で、ネットで見つけたそれを紹介してしまう。
営利目的では使用しておりません。

536b

  葉ざくらの頃の
  ネルの着物は かなしいものである
  わけて 青いゆふぐれの
  ネルの着物は かなしいものである
  ああ このものういゆふぐれの散歩に
  私はアスパラガスをたべよう

これがその詩の全文で、葉ザクラ以外に 「ネルの着物」 や 「アスパラガス」 という言葉も出てくる。
ネルの着物はまだしも、アスパラガスなんて言葉が戦前からあったのかと、ちょっと意外。

ネルというのはやわらかくて軽い毛織物のことで、わたしも子供のころ、親が親戚からもらってきた寝間着を着せられたおぼえがある。
保温性があってわたしが愛用したものだけど、それがフランネルの略語であることは、だいぶあとになって知った。
その肌合いをなつかしく思う気持ちが、わたしにもほんのすこし。

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