ロシアⅡ/レストラン
帰りはカローメンスカヤの駅に出て、そのあたりのレストランで食事をしていくことにした。
この駅のまわりはにぎやかなところで、トラムも走っている。
金髪クンが帰りはトラムで帰りませんかといいだして、そのあたりで尋ねてみたら、トラムはわたしのホテルの近くを通ってないことがわかって断念した。
道路の向こう側にTAKAOというネオンが見える。
金髪クンが日本食レストランですよという。
和食がユネスコの遺産に登録されたせいかどうか知らないけど、モスクワに日本食レストランの数はたいへん多いそうである。
寿司なんかとても食べられたものじゃないけど、たいていのものはロシアでも食べられるそうだ。
モスクワ大学の見学をしたとき聞いた話では、大学の近くにできたばかりの讃岐うどんの店があって、金髪クンの恋人も大好きだという。
そのときにはっきりそういってもらえば、わたしもロシアのうどんなるものを食べてみたかったのに。
カロメン駅では、わたしたちは道路のこちら側の高級そうなレストランに入った。
なに、明日は帰国日だから、もうお金をみんな使ってしまってもかまわない。
いざとなればカードもあるし。
お金の支払い以外は金髪クンにまかせることにした。
彼はダウンの下がロゴ入りのTシャツに、両サイドにポケットのついたカーゴパンツで、カジュアル丸出しのスタイルだから、こんなラフな格好では2階には上がれないっていってますよという。
そんなセレブが集まる店なのかと、このときだけはしぶい魅力?のわたしが交渉して、2階に上げてもらった。
2階はダンスホールをかねたレストランになっており、男女の歌手が歌っているだけで、べつにネクタイ着用の店にも見えなかった。
金髪クンが青臭いガキと思われたのかもしれないけど、パリのクレイジーホースみたいな卑猥なショーをしているわけでもなかった。
わたしたちはすみっこの席に座った。
食事中もロシア人の男女がフロアでばたばたと踊り始める。
わたしはワインを飲む。
金髪クンはけっしてアルコールを飲まない。
ゆったりと飲んだり食べたりできる、ロシア最後の夜なんだけどね。
注文した料理がまちがってましたと金髪クン。
○○の肉が△△の肉になってましたと。
そうかいと、わたしがロシア人的おおらかさで文句をいわないのは、どうせ肉なんて好きじゃないし、肉の部位なんてわからないから。
しかし彼は肉食のプロだし、モルモン教徒みたいに潔癖な若者だから、わざわざウエイターをつかまえて文句をいっていた。
そのため帰りにチップを払わなかった。
最近はレストランの写真をすぐに口コミ・サイトに投稿してよろこんでいるバカが多いから、そういう手合いに間違えられたくないってんで、△△の肉料理の写真はなし。
高級レストランに入ったという証拠のために、メニューをながめる金髪クンと歌手の写真だけ載せておこう。
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