ロシアⅡ/墓地と美術館
ホテルの近所をぶらぶらしただけでは、午前中をつぶすのがやっと。
そこで、ロシアにもういちど来られるかどうかわからないから、お別れのつもりでまたトレチャコフ美術館とノボデヴィチ墓地に行ってみることにした。
トレチャコフ美術館はホテルから近いし、墓地もすでに見てきて地の利はこころえているから、これならなにかトラブルがあっても飛行機に乗り遅れることはないだろう。
金髪クンにこんな話をしたら、ボクもノボデヴィチ修道院とトレチャコフ美術館には行ったことがありませんといいだした。
それでこの日の午後は、彼を連れてこのふたつの見学に行くことにした。
まえに紹介したノボデヴィチ修道院の、行水をするカラスとそれを見つめる修道女のエピソードはこのおりのもの。
修道院と墓地をぶらぶらする。
わたしは修道院にあまり関心のないほうだけど、金髪クンはまだ若くてなんにでも興味をもつ歳ごろだから、それなりおもしろそうである。
建物のパネルをながめて、へえ、これは古いロシア語です、ボクには読めませんなどという。
墓地では、あ、これはロシアのえらい科学者ですとか、こっちは有名な芸能人ですと説明してくれた。
ただ、彼の年令ではライサ・ゴルバチョフといってもピンと来ないようで、こういう若者がノボデヴィチ修道院の墓地を見ても、わたしと同じ感傷をもつことはないと思われる。
墓地からトレチャコフ美術館にまわり、ここで彼にチケットの購入をまかせたら、ロシア人料金で入れてしまった。
そのほうが100ルーブル安かったけど、前回の旅を含めれば、わたしはもう4回目の訪問になるのだから、ロシア人と同じ待遇にしてもらってもバチは当たらないだろう。
クロークに荷物やコートを預けるとき、担当のおばばが絵葉書を持ち出してなにかいう。
彼女のアルバイトらしかったけど、わたしは他人が撮った写真はめったに買わない主義である。
ニェット。
2番目の写真は、イワーノフの「民衆の前に現われたキリスト」をながめる金髪クン(右側のいちばん手前)。
彼といっしょに見学して思ったことは、やはり他人がいるとおちついて絵の鑑賞なんかしていられないということである。
わたしみたいに絵画のまえに出ると、思索や空想でぼんやり感を誘発されてしまう人間にはなおさらのこと。
美術館はひとりで行くのがいちばんいい。
愛するロブヒナと今度こそお別れだけど、機会があれば、いや、機会を無理にでもこしらえて、わたしはもういちどロシアを訪問したいと思っている。
サンクトペテルブルクのエルミタージュも、まだわたしのこころのうちで未消化のままなのだ。
最後の写真は、まえに紹介しそこねた魅力的な彫刻で、もったいないからここで紹介。
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