西表島/自由気まま
今回の旅ではできるだけ行き当たりばったりでいくことにした。
わたしは、痩せても枯れても自由気ままを愛する旅人なのだ。
その精神は西行や芭蕉のそれを脈々とうけついでいるのだ。
でも自由気ままというのはけっこう高くつくものである。
ホテルは最後の晩だけしか予約してなかった。
あとは現地で飛び込みのつもりだけど、6月の沖縄といえば誰でも梅雨を思い浮かべる。
そんな季節にわざわざ出かけるバカはわたしぐらいのものだろうから、なに、宿屋なんていくらでも見つかると思っていた。
最初の晩は石垣島の離島桟橋近くに宿をとるつもりで、1年まえの石垣訪問のときに目ぼしをつけておいた、「素泊まり荘」 という格安ホテルへ行ってみた。
この宿は桟橋から徒歩3分かけ足1分のところにあって、一見したところ、山谷の簡易宿舎みたいな2階建ての建物だけど、ベッド (とエアコン) さえあればなんだっていいというわたしは気にしないのである。
繁華街のまん中にあるのだから、食事がつかなくても食うところには不自由しない。
ほんとうに旅を愛する人はこういうところに泊まるものなのだ。
だいたい、こういう宿の実態はどんなものかという尽きせぬ興味もあった。
ひょっとするとめずらしい探訪記になるかもしれない。
するとまたブログのアクセスが増えるかもしれないというさもしい考えもある。
2階にある玄関でスイマセンと呼ばわると、女性が出てきて、部屋ですか、あいにく今日は全部ふさがってますという。
オイオイ。
仕方がないから 「マリウド石垣」 や 「ターミナル・ハウス」 という、同じようなべつの格安ホテルにあたってみた。
石垣にはこういう宿がけっこうたくさんあるのである。
ところがどこへ行ってもふさがってますという。
なんかいまの時期に混雑する原因がありますかと訊くと、さあねえと首をかしげ、前の日にハーリーがあったけど、ウチにはそんなもの関係ないしねえという。
じつは石垣には知り合いがいて、彼に聞いてみたら、本土から来た金のない若者や、ホームレスみたいのが居座っているんですよという。
6月になるとそろそろ夏シーズンだし、安く沖縄旅行をしようという若者たちが押し寄せているらしい。
こういう若者たちの考えはキライじゃないし、わたしも若かったらこういうところ専門の貧乏旅行をしたかもしれない。
しかしどうも、わたしみたいにそれなり安定してしまったおじさんが泊まる場所じゃないようだ。
せっかくめずらしい体験ができるかと期待したのに、最初からとん挫、夢まぼろしになってしまった。
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