西表島/のんびり
西表島に着いて上原港からかまどま荘に直行した。
「かまどま荘」 は1年まえにはじめて泊まった民宿で、文明と人間生活のつきる果て、というのはオーバーだけど、道路がとぎれてその先はまた連絡船という、ひじょうに不便なところにある宿である。
でも無線LANはあるから、やはり世間から隔絶しているわけではない。
ケータイも圏外ってわけじゃないし。
今回はここにどっしりと尻を落ちつけ、たっぷりと太古のままの自然にひたるつもりである。
道路がとぎれたところにある白浜港で連絡船を待っていたら、到着した船から水着のままの若い娘たちが、嬌声をあげながら下りてきた。
彼女らは日帰りでかまどま荘のある船浮地区というところへ行ってきたらしい。
そこには 「イダの浜」 という、想像を絶するほどきれいな浜があるので、そこで泳いできたのだろう。
彼女らを目で追うと、港の公衆トイレのまえで水をじゃあじゃあと浴びていた。
なかなか幸先がよろしい。
かまどま荘で、なにしろ下船して徒歩1分のところにあるので、コンニチワと呼ばわってみた。
返事がない。
前の晩に電話しておいたのにと思う。
でも西表でこういうことはめずらしくない。
かまどま荘のとなりに 「ふねっちゃーぬ家」 というカフェ (!?) があるけど、店が開いているのをめったに見ない。
たまに開いていることがあるから、女主人にどこへ行ってましたかと訊くと、山へタケノコ採りに行ってましたという。
万事こんな調子である。
どうも西表の住人ののん気さは都会人の常識をはずれているようだ。
もっとあとで、わたしはべつの場所のガソリン・スタンドでレンタル・バイクを借りることになるけど、それを返しにいったらスタンドはもう閉店していた。
スタンドの店主は近くで民宿を営んでいるそうだから、そこまで足を運んだら、宿泊客らしい若者が、ここの主人は夜釣り大会に行って留守ですよという。
ほかに宿の人間はいないらしい。
まあ、せまくて人口密度のすくない離島だから、踏み倒して逃げる客もいないだろうけど、のんきというのか無責任というのか。
むかしは日本の農村もみんなこうだったなと思う。
仕方がないから荷物をかまどま荘のまえのベンチに置いて、そのへんをぶらぶらした。
目の前の岸壁から見下ろすと、めずらしい熱帯魚が泳いでいるし、長い針をゆらゆらとゆらすガンガゼの群れも見える。
ナチュラリストには退屈しない場所である。
写真は港内のガンガゼと、岸壁のすぐ下を泳いでいたイシガキフグ。
ガンガゼは人畜無害だけど、うっかり手を出すとコワイ動物だ。
両者とも食べると美味しいらしい。
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