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2014年6月28日 (土)

玉琮

故宮の至宝展が開催だそうだ。
有名なものはなんでもホメるという世論にあらがうわたしとしては、いちゃもんをつけないわけにはいかない。
いっぽうで芸術を愛するわたしなので、至高の芸術に対していちゃもんなんておそれ多いことである。
さて、どうしょー。

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今回の至宝展では白菜の彫刻が売りモノらしい。
これは玉 (ぎょく) という石で彫られた彫刻で、たったひとつの原石から3D的な白菜を彫り出した逸品である。
しかも原石の色が場所によって異なるのを、じっさいの白菜の葉と白い部分に巧妙に生かして、おまけにその上にキリギリスまで乗っけたという凝った作品だ。

じつはわたしは台湾に行ったことがあり、台湾に行った旅行者はほぼまちがいなく故宮に連れていかれる。
故宮に連れていかれれば、とうぜん第一級の名品であるこの白菜を見ることになる。
そういうわけでわたしは過去にこの彫刻を見たことがあるのだ。

わたしの欠点は芸術に対しても好ききらいがあること。
絵画では抽象画があまり好きではないくせに、彫刻では逆に、ミロのヴィーナスのような特例をのぞけば、具象的なものが好きではない。
焼き物でも具体的な絵が描かれた九谷焼きや有田焼きより、偶然の産物のような美濃焼きや備前焼きのほうが好きである。

ずっと以前に大陸中国の上海博物館で、玉琮 (ぎょくそう) という玉製品を見た。
これは始皇帝よりさらにむかしの古代の王墓からの出土品で、四角い柱を何段にも分け、その表面に細かい文様を刻んだ、中国皇帝の権威を象徴するとされている宝物である。
どっちかというと抽象作品といっていいものだけど、これの芸術性に感動したハナシはさておいて。

玉というのは中国では黄金以上に貴重とされている鉱物で、硬度はダイヤモンドに次ぐぐらいという記事を週刊朝日で見たことがある。
そんな固いものに、おおむかしの人はどうやって細かい彫刻をしたのかと、記事はそのあたりを検証するものだった。
詳しいことは忘れた。

玉琮に比べると白菜はもっとずっとあとのもので、どうもこの時代には玉の彫り方は確立されていたらしく、上海博物館にも岩山とそこに生えている松の木、うごめく人間などをこまかく彫りぬいたでっかい玉の置物がある。
そしてこのあたりになると、精神世界より技巧を誇るものになっちゃったようで、いささかゲテモノぎみ。
みやげもの屋に連れていかれると、そこにもたくさんの玉製品があって、これは国家の重要芸術ですが、あなただけには特別にお売りしましょうなんてささやかれたりする。
うれしがって大枚をはたく日本人がたまにいるけど、ま、他人がどうしようと大きなお世話。

上海博物館の玉琮については、ひじょうに素晴らしいものだった。
表面に意味不明な文様が彫られ、じっと見つめていると半透明の玉の内部に引き込まれそうな魅力がある。
こんなものを部屋に置いて、ときどき表面をさすったりすれば、自分も宇宙の支配者になったような気分がすること請け合いだ。
博物館のショップで販売していたので、もっともこれは精巧なレプリカだったけど、つい買って帰りたいと思ったくらいだ。
しかしレプリカといえども、とうていわたしの財力で購入できる値段ではなかった。
仕方がないから、街の骨董品市場で500円ぐらいのまがいモノを手に入れて、不運なことにそれはまだわたしの部屋にある。
ここに載せた写真はまがいモノのほうだ。

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