クリームの音楽
前項の続きみたいになるけど、クリームというロック・バンドの魅力は、ギター、ベース、ドラムスという三つの楽器が、おたがいに自己主張したまま即興演奏をくりひろげるところだといわれる。
「スウィート・ワイン Sweet wine」 という曲がある。
これのライブ版は、例によって15分ちかくある長い演奏で、ギターがしゃにむに他を引っ張っているように聴こえるのは、まあ、クリームのほかの曲といっしょなんだけど、ギターのエリック・クラプトンが中間部で音を止めてしまう瞬間がある。
◎即興演奏の宿命で、演奏の内容がいつも同じとはかぎらないから、これは1970年に発売された 「ライブ・クリーム」 の中の演奏について書いている。
これが最初から打ち合わせてあったものかどうかわからないけど、ベースもドラムスもしめしあわせたように音を殺し、ほんの短時間、息を飲むような静寂がおとずれる。
すかさずジャック・ブルースが、おい、続けろ、続けろと目くばせすると、ギターが意表をつくような音を出し、それをベースが巧妙に受けて立ち、じょじょにもとのスタイルにもどる、そんな演奏中のプレーヤーを想像しながら聴くと、じつにもう、このスリルがたまらない。
こうした即興演奏のかけひきのおもしろさに感動して、わたしはそれからしばらく同じような演奏はないかと、いろんなレコードをあさった。
クリームの音楽はハードロックといってもいいものだけど、当時はやった同じようなバンドで、これほどスリルを感じさせてくれるものはひとつもなかった。
レッド・ツェッペリンやジェフ・ベック、オールマン・ブラザースなども聴いてみたけど、どこか違うってわけで、けっきょくそれらはお蔵入り。
それじゃ似たような演奏は見つからなかったのかといわれると、そうともいえない。
あちこちあさったおかげで、ジミ・ヘンドリックスやポール・バターフィルドのバンドを知ることになるのだから。
スリルのあるインタープレイを求めて、やがてジャズの大海原にこぎだすことにもなるのだから。
そうやっていろんな音楽を聴いたおかげで、どれだけ人生が豊かになったことか。
添付したのはクリーム時代のメンバー。
いちばん右のジンジャー・ベイカーだけは年齢不詳のところがあるけど、あとの2人の若かったこと。
まん中が、今回お亡くなりになっちゃったJ・ブルースで、当時の英国のバンドの見本みたいな髪型。
クリームの音楽を聴きたければ、YouTube でたいていの曲は見つかるみたい・・・・・・
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