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2014年11月

2014年11月29日 (土)

西表Ⅱ/南風見田浜

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西表島で道路があるのは東半分だけ、車なら道路のはしからはしまで走っても1時間くらいだ。
いっぽうのはしは○○旅館に泊まった白浜で、もういっぽうのはしは南風見田 (はえみた) 浜ということになる。
南風見田浜にはキャンプ場や海水浴場があるけど、道路はそこで終わりだから、これより先に行くためには、徒歩で山越えをするか、海岸の磯をつたって歩くしかない。

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このとっつきにある海岸は遠浅だし、引き潮になるとあらわれるリーフが天然の障壁になるから、海水浴場としてめぐまれた環境で、夏はけっこうにぎわうようである。
しかしわたしが行ったときはみごとなくらい誰もおらず、咲きおくれたグンバイヒルガオが風に吹かれているだけだった。
後述する休憩所の東屋をのぞけば、もちろん視野の中に1軒の民家も売店もない。
海岸には、かって地球が煮えくり返った時代の痕跡を残す、奇妙なかたちの岩が積み重なっている。

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自然愛好家 (そして詩人) にとって、白くて長い砂浜をひとり占めする気分はわるくない。
明るい褐色の砂の上を半透明のユウレイガニがさっと逃げていく。
砂浜にはスナガニの穴がたくさんあいている。
中をのぞきこむと、家主の足が見えるものもあったから、サンゴのかけらを放り込んでみたら、なんだなんだ、だれだだれだと、怒り狂ったカニが飛び出してきた。
ユウレイガニより図体が大きく、そのけんまくがコワイ。

引き潮の波打ちぎわをぶらぶらして、そのへんの石をひっくり返してみると、じっと息をこらしていたカニやエビの仲間が少々。
磯にできたタイドプールを観察してもそれほど動物は多くない。
浅瀬にボラのような小魚の群れがいて、近づくとさざ波をたてて逃げていく。
ちょっともの足りない。

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どうもわたしはこの旅で、西表島に過大な期待をしすぎていたようだ。
南風見田浜より先はどうだろう。
磯をつたってまでして先へ行ってみようという観光客はあまりいないだろうから、この先の海岸にはまだまだ驚異の大自然が残っているかもしれない。
地図をみても、西表の南西海岸はほとんど人間の手が入ってない。
来年はカヌーでもおぼえて、もうちっと前人未踏の海岸に押し渡ってみるか。

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言い忘れたけど、この浜にはちゃんと使えるシャワーがある。
海岸を見渡せる場所にコンクリートの東屋があり、そのわきにたった1コだけあるんだけど、雑草におおわれていて、サビついた蛇口がひとつあるだけ。
白浜の旅館に泊まっているとき、沖縄人の性格について書かれた本があったから読んでみたら、なんでもすぐに始めるくせにあとの管理が続かない、東南アジアの島々の住人に共通するおおらかさと書いてあった。
このシャワーもそういうものかも。

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2014年11月28日 (金)

西表Ⅱ/仲間川クルーズ

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前回の訪問で浦内川のクルーズ船には乗ったことがあるけど、仲間川のそれには乗ったことがない。
出来合いの観光でも、やはり西表の奥のほうへすわったまま行けるのだから、いちどは乗ってみるべきだろう。

クルーズ船は大原港の桟橋からと、河口の船着き場の2カ所から出る。
桟橋から出るほうは、連絡船でやってきた観光客がそのままクルーズ船に乗り換えて出発していく。
連絡船の会社が、客をごそっと一網打尽だ。
河口のほうは島内に滞在している旅人がメインの客のようだ。
料金は統一されているから、どっちにするかと悩んだけど、俗物的観光客たちといっしょになるより、河口からあくまで孤独の旅人で行くことにした。

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船が出航すると、両岸はとうぜんながらマングローブの森である。
浦内川のクルーズにくらべると、河口周辺に集落があるし、周囲の山並みもいくらかおだやかなので、仲間川のほうが文明化されているようにみえる。

ちょうど大潮の時期なので、引き潮になると川が浅くなって船が走れないから、この時間帯はクルーズ船も終点までは行かない。
潮の満ち引きをじっと観察してみると、干満がはじまるまでは静寂があり、いったんそれがはじまると、もう見る見るうちにという感じである。
ある場所で水につかったマングローブの根を見たけど、水が盛り上がってそれを越えるくらい潮の流れは速い。

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水から生えたマングローブに赤いものが点々としている。
花というには可愛げがないけど、これが成長すると水面に落ち、やがてどこかに漂って、運のいいものがまた大地に根を打ち込むことになるのだ。
マングローブは汽水域に生える植物なので、上流に行くにつれて数が少なくなる。

しばらく走ると山の中腹に白い建物が見える。
船頭を兼ねるガイドさんがあれはなんとかかんとかの施設で、あそこからの展望は素晴らしいですという。
なるほど。
車でも行けますかと、これは、この日いちにちレンタカーを借りていたわたしの質問。
行けますけど、レンタカーは進入禁止ですとガイドさん。
やれやれ。

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終点の船着き場から上陸して密林に分け入る。
ちゃんと遊歩道が作られていて、そのほんのすこし先に、天然記念物になっている樹齢350年というサキシマスオウの木がある。
根の部分が板のように地表に露出していて、むかしはこの根を舟の櫂に利用したんだそうである。
地衣類がはりついて、はじめてみるとこれはなかなか迫力がある。
古木というものはどこでも威厳と神秘性がマッチして神さびるものだけど、ウタラ炭坑のガジュマルのように人間の怨念がからみついてないだけ、こちらにはコワイという雰囲気はなかった。
その枝のふたまたに分かれたところにオオタニワタリが生えている。
これは八重山ではソバの薬味代わりに使われる植物だ。

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2014年11月27日 (木)

西表Ⅱ/由布島

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由布島にも行ってみた。
ここでは牛車に乗ってみた。
だんだんふつうの観光旅行になってしまう。

じつは昼メシを食べるところを探して、由布島の牛車乗り場の近くにレストランがありますというからやって来たんだけど、その店は水曜日が定休日で閉まっていた。
ほかにありませんかと聞いてみたら、由布島に渡ればありますという。
ここは全体が植物園になっていて、その中にレストランもあるのだそうだ。

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由布島は牛車の渡しで知られているところで、潮が引くと島まで、人間が歩いたって10分もあれば着いてしまう。
自分で歩いて渡りますというと、乗り場の女の子が、歩いても正規の牛車料金はいただきますという。
なんでも牛車の料金には、植物園の入場料も含まれていて、向こうにあるレストランは植物園に付属のものだから、これでは料金を払わないという根拠がない。

けっきょく牛車に乗ることになった。
まぬけな話だけど、カレー1杯を食べるために牛車の料金まで払ったことになる。
でもまあ、西表島に4回も来てるくせに、由布島の牛車に乗るのは初めてだから、話のタネ、ブログのネタにはいいんじゃないか。

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へそまがりのわたしは出来合いの観光なんてものをバカにしてるけど、牛車でゆるゆると干潟を渡っていくのは、のらりくらりのわたしの人生観と一致していて、なかなかよろしい。
この日のこの時間はちょうど干潮だったから、水は人間の足のくるぶしまでくらいしかない。
満潮のときも牛車は出ますかと牛方に聞くと、車輪が水没するくらい水があってもちゃんと出るよという。
いくら水牛であっても大変な仕事だ。
もっとも地面は固くしまっていて、泥に車輪をとられることはなさそうだ。
シンちゃんや、もっと右だよ、あ、こんどは左なんて、牛方のおじさんは牛にやさしく声をかけていたから、虐待されているわけでもなさそうである。

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由布島へ渡ると目の前が植物園だ。
目的も予備知識もなかったから、通りいっぺんの見学だけしかしなかったけど、ひとつ気になったのは園内にある小さな池にシマ模様の魚がいたこと。
これって真水ですかと聞くとそうですとのこと。
沖縄の淡水魚ってどんなのだろう。

帰りは渚にもどってみたら、ちょうど牛車の便が出たところだった。
そこで、歩いていくよとことわって、スニーカーを手に持ち、牛車のわだちが残る干潟を裸足でじゃぶじゃぶ。
なにか動物はいないかと、歩きながらうすく海水におおわれた砂地をじっとながめる。
年がら年じゅう牛車が往復しているところだから、ほとんど生きものは見られない。
ある場所にウミウシの卵のようなかたまりがあったけど、それは牛のウンコだった。
そんなわたしを、対岸からやってきた牛車の観光客たちがうらやましそうにながめていた。
彼らも歩いてみたいらしい。

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2014年11月26日 (水)

プーチンとトラ

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ネット・ニュースを見ていたら、プーチンの放したアムールトラが、中国でヤギを襲ったって。
そんなこといったってプーチンに責任があるわけじゃないし、トラがどこでエサをとろうと人間が苦情をいうスジのもんじゃないでしょ。
絶滅危惧種のトラが迷いこんできたら、花火でも上げて盛大に迎えてやらなくちゃ。

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西表Ⅱ/オオコウモリ

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オオコウモリ (ヤエヤマオオコウモリ) を見に行きませんかと、白浜の宿で同宿だったオカダさんがいう。
オオコウモリは前回の西表訪問のときに、見ようとしてよく見えず、撮ろうとしてぜんぜん撮れなかった動物である。
ここに載せた最初の2枚はネットで見つけた写真で、わたしが撮ったものではありません。

このへんにもいますかねえと聞くと、宿のわきの路地をちょっと登ったところに毎晩出ますよと、なんだか幽霊でも出るような話。
で、ある晩、デジカメを持って出かけてみた。

コウモリというのはユニークな動物で、本格的に空を飛ぶ哺乳類というだけでもめずらしいのに、肉食主義者から菜食主義、果物を食べるものから昆虫やカエル、魚を食べるもの、花の蜜から他人の血を吸う吸血鬼みたいなものまでいる。
西表のオオコウモリは菜食主義のきわめて平和な動物で、もっぱら果物や花などを食べているそうだ。
この仲間には鼻が音波探知機として発達した、異様なご面相のものもいるけど、オオコウモリの場合は、顔つきも小型のワンちゃんのような愛らしい顔をしている。
まだペットショップでは売ってないみたいだから、撮れるものなら写真に撮ってみたいものだ。

しかし活動するのは夜で、しかも鳥のようにじっとしていない相手だから、これをコンパクト・デジカメで撮影するのはむずかしい。
前回はやみくもにストロボを光らせて、なにも写らなかった。
今回はリベンジである。
まあ、とにかくやってみよう。

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早い時間は月がなくてまっ暗だから、月の出る時間帯に行ってみた。
この時期の西表は、夜の12時ごろになると満月が上がってこうこうとした月明かりになる。
住人の大半はもう寝静まっているけれど、木立の上になにやらひらひらと飛びかっているものがいる。
ねらって撮れるものではないことは百も承知で、そいつが近くにきたときストロボを光らせてみた。
たまたま写っていたのが、いちばん最後の1枚。
ほめられた写真じゃないけど、オオコウモリ (ヤエヤマオオコウモリ) の記念すべきショットということで。

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2014年11月25日 (火)

西表Ⅱ/オカダさん

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白浜の旅館に泊まっているとき、同宿者がひとりいた。
関東地方の某都市から来たオカダさんという元気のいい老人で、西表に通い始めてから37年になるという筋がね入りの離島フリークである。
もっとも最初は仕事で来たそうだけど、こ存じのように都会というやつは人間関係が希薄で、同じアパートに住んでいても、口も聞いたことがないというとなり同士がめずらしくない。
わたしと違っておしゃべりが大好きなオカダさんにはとても耐えられない環境だ。

たまたま仕事でやってきた彼は、西表島でむかしながらの濃密な人間関係を見出した。
毎日顔をあわせた人たちが、親戚同士のように挨拶をし、世間話をする。
それだけでオカダさんにはこの島が、終のすみかに値すると思えてしまった。
以来彼は、定年退職をしてからも定期的に (お金があるかぎりずっと) 西表に通っているのである。
ちなみに彼は独身である。

みたところオカダさんはなにをするでもない。
朝は刺し網漁師たちの水揚げを手伝い、昼は白浜でゆいいつのスーパー・屋良商店や、集落のあいだを自転車でぶらぶらして (ちなみにこの自転車は彼が購入して、ふだんは屋良商店に預けてある)、漁師や近所の老人たちとおしゃべりをするだけである。
そんな調子だから、島については、もうじつに博識だ。
刺し網についても漁師顔まけなくらいいろんなことを知ってるし、えものの流通方法や市場での価値について、最近は獲物が少なくなったこと、海ガメかかかることもあること、イノシシ猟のこと、春が旬の天然モズクのこと、いまより家の多かった白浜の60年まえの写真について、ここの人口、小学校の生徒数のことなどである。

わたしが、30年もまえに西表の 「うなりざき荘」 というダイビング宿に泊まったことがありますというと、ああ、ヨシ坊ね、彼はいまはでっかい宿に建て替えてオーナーに収まってるよという。
ヨシ坊というのはわたしが泊まったころの宿の主人だった人で、いまでも元気でいるらしい。

ある晩、民宿の夕食がわたしの分しかなかった。
オカダさんは夕食抜きですかと宿のおかみさんに聞くと、彼は知り合いの誕生会に招かれて、今夜はそっちで飲んでくるからいいんですという。
一事が万事こんな調子だ。

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わたしみたいなひきこもりじゃ100年たってもオカダさんの域には達しないだろうけど、こういうのも現代の、定年になって家族からも疎外され、孤独に悩む老人の生き方としては、ひとつの選択肢じゃなかろうか。
彼が話し好きであることという条件がつきますけどね。

西表に通うのは費用が大変だという人がいるかもしれないけど、オカダさんはそっちのほうでもたくさんの知識を持っていて、定年過ぎで、いつでもてきとうな日にふらりと出発できる老人なら、旅を安く上げる方法はたくさんあるという。
このへんはわたしにもおおいに参考になる話でアリマス。

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2014年11月24日 (月)

西表Ⅱ/カニと潮時

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大原で2500円の民宿に泊まっていたときのこと。
食事はカップラーメンで済ませるつもりだったけど、夜になってすぐに寝るのはもったいない。
だからといって、夜遊びに行く場所もない小さな集落である。
さいわい宿から道路をはさんで目の前に飲み屋があった。
なんだかよくわからない店である。

沖縄らしいコンクリート建ての建物の一階部分にガラスのはまった大きな窓があり、いちおうオリオンビールののぼりが立っている。
ガラス窓は内部から古いカーテンで目かくしされ、店内のようすはうかがえない。
壁に郷土料理という文字が書かれていて、かたわらに手描きの看板らしいものもあるけど、いずれも最近手をかけた形跡がないから、10年ぐらい前に廃業したレストランみたいである。
たぶん地元のおばさんがひとりで手料理でも作ってやってんだろうなと考え、たいして期待もせずに入ってみた。
壁に洋酒のボトルがずらりと並んでいたにはビックリした。

店内は予想していたよりずっと広く、外観と内部がこれほど異なる店もめずらしい。
カウンターの内側で働いているのは、ニット帽をかぶった今ふうの若者ふたりで、これも意表をつかれた。
彼らと会話をした。

会話といっても浮世ばなれしたわたしのことだから、新聞の三面記事にふさわしいものはなにもなくて、この島でなにかめずらしい自然現象を見たことがないかいというわたしの質問に対する若者の返事。
一年のある特定の時期に、たくさんのカニが現れるのを見たことがありますという。

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カニが産卵期に集団で移動することはよく知られている。
写真はネットで見つけたもので、クリスマス島でのアカガニの大移動。
ここまでいくと驚異の自然現象ってことになるけど、自然の豊富な西表で似たようなことがあってもおかしくない。
若者はとくに自然に関心があるわけではなく、時期について明言しなかったけど、それを見ようと思ったらいつ西表に行けばいいだろう。
これだから浮世ばなれしているといわれてしまうんだけど、いろいろ調べてみた。

カニの大群というと、たいていの観光客が感動するのが、このブログでも紹介した干潟のミナミコメツキガニらしく、ネット上にその情報はたくさん見つかる。
しかしわたしが見たいものとはそれとは違うようだ。

カニが集団で移動する原因は、おそらく陸生のカニの産卵のためだろうから、時期は春だろう。
海の生きものの多くは春に産卵するものなのだ。
しかも春の満月の晩、つまり大潮の夜らしい。
ということは潮見表を参考にすればいいわけだ。
来年は春にまた来てみようと考える。

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たったひとりの客のわたしが、流行らない飲み屋だと思って心配していたら、そのうち野球のユニフォームを着た地元の若者らがどさどさ入ってきた。
考えてみれば西表島の小さな集落で、日曜野球の終了後に、参加者たちが気焔を上げるにはこんなにふさわしい店はないかもしれない。
こんなところで自然現象の質問なんかしているわたしのほうがよっぽど異端者だ。
そのあたりを潮時 (シオドキ) に、いや、これは潮見表と関係ないけど、おじさんは退散することにした。

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2014年11月23日 (日)

西表Ⅱ/炭坑跡

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終点のウタラ炭坑跡は森の中にひっそりとしずまりかえっていた。
そのあたりには見学用の木道がつくられている。
ハイキング気分でのんびり歩いてきたわたしだけど、そこでぴたりと足がとまってしまった。

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炭坑跡といっても坑道やボタ山が残っているわけではなく、あるのはレンガでできた古い建物の一部と、目をこらせば土管や工作機械の残骸、無数のビールのあき瓶が転がっているぐらいのものである。
そのレンガの柱に、まるでSFに登場する触手をもった吸血怪獣のように、巨大なガジュマルの木がからみついていた。
西表のべつの場所にある天然記念物のサキシマスオウより、こっちのほうが思わず息をのむような迫力だ。

炭坑というと、かってはタコ部屋の代名詞だった時代がある。
ウタラ炭坑の場合はわりあい福利厚生の充実した近代的な炭坑で、上下水道や大浴場、診療室が整備され、坑夫の家族のために私立の学校や300人収容の劇場まであったそうである。
西表島にはマラリアが多かったので、蚊の対策も講じられており、患者の数は西表島の炭鉱の中でも抜きん出て低かったという(このへんはウィキペディアの受け売り)。
残念なことにこういう経営者の努力も、太平洋戦争のぼっ発で石炭の需要が高まると、労働条件はタコ部屋に逆戻りしてしまい、ウタラ炭坑でも坑夫への虐待、リンチ、殺人などがあったというから、そうした犠牲者の怨念がこもっているのではないかと考えると、からみついたガジュマルはそうとうに不気味である。
この場に居合わせたのはわたしひとりだから、さらに不気味。

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現在のウタラ炭坑跡は、2007年に経済産業省の 「近代化産業遺産群」 に認定されている。
もっと観光誘致されてもよさそうだけど、個人的にはタコ部屋を産業遺産に認定していいのかという疑問もある。
度はずれた時間外労働で有名になった居酒屋チェーンのごとく、現在はタコ部屋が復活しつつある時代だし、日本の大企業の中には暗い過去をもつものも少なくないのだから、近代化に貢献した陽の部分ばかりではなく、そうした点もきっちり保存してほしいものだ。

ガジュマルの根はほんのわずかなすき間やひび割れにも侵入し、いつかその根っこのパワーで岩や建物を崩壊させてしまうらしい。
ウタラ炭坑跡もやがて森の中に埋没する運命なんだろうけど、そのころ日本はどうなっているだろう。
虐待や24時間労働が過去のものになってるかどうか、木道上の木の葉を踏みつつ、わたしはしばらくぼんやと考えた。
森羅万象をすぐに政治問題に我田引水してしまうのがわたしのブログの長所(欠点?)だ。

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2014年11月22日 (土)

西表Ⅱ/ウタラ炭鉱への道

西表島にはかっての炭坑跡が少なくない。
浦内川のたもとから歩いていけるウタラ (宇多良) 炭坑もそのひとつ。
わたしはぜひここへ行ってみたかった。
ネットで調べると、ここへ行ってきたという人のブログも見つかるけど、浦内川のクルーズに比べれば数は多くなさそうだから、わたしなりの発見があるかもしれない。

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浦内川のクルーズ船には、前回の旅で乗ったことがある。
クルーズもさることながら、そのとちゅうの山歩きでなにかめずらしい生きものに出会えるのではないかと期待したのだけど、見たのはトカゲとカエルくらい。
観光客の少ないウタラ炭坑のほうが、まだ道もそれほど荒れておらず、めずらしい生きものに会えるチャンスが多いのではないか。

ウタラ炭坑へ行く道は、クルーズ船乗り場の駐車場からまっすぐ入ったところである。
ここから炭坑まで、せいぜい1キロほどの平坦な道だから、子供連れでも問題はないけど、人通りはけっして多くないから、昨今の事情では女の子のひとり歩きはやめたほうがいいかも。

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最初のうちは浦内川に沿った道で、クルーズ船が見下ろせる高台もある。
ほどなくしてその支流ぞいの道になる。
この季節でもたくさんのチョウチョが飛び交い、道中のあちこちでサキシマキノボリトカゲを見た。
尻尾をぴんとのばした、なかなか愛嬌のあるトカゲだ。
ただ、しろうとの自然愛好家がぶらぶらしたくらいでは、めずらしい生きものにはなかなか会えないもので、この日にこの道で出会った生きものは、チョウチョ複数とトカゲ3匹。

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支流の岸辺はマングローブの森で、まるでアマゾンのようである。
開高健の「オーパ!」を思い出す。
流れの中に魚影が濃い。
20センチほどの魚が泳いでいるのが上から見える。
こんなところで釣りをする人もいないだろうから、まだあまりすれてないんじゃないか。
どんな魚なのだろうと、興味をもったわたしは、あとでもういちどこのコースを訪問することにした。

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2014年11月21日 (金)

西表Ⅱ/カニたち

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仲間川のあたりをレンタカーでドライブしていたら、干潟に下りられそうなわき道があったので、えいっと車をUターンさせてそこへ突っ込んでみた。
ほんの10メートルほどしかない道路の切れっぱしみたいなところで、それでもここから堰堤の石垣をつたって干潟に下りることができた。
遠くから見ると美しい干潟だけど、すぐ近くに行かないと生きものまでは見えないのである。

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ところがそうやって、粘っこい泥の上をじかに歩いてみたにもかかわらず、こっちの期待が大きすぎたのか、生きものがあふれているというほどじゃなかった。
泥の表面に無数の穴があいているから、そうとうの生きものが生息しているらしいことはわかるけど、その大多数は潮の干満に合わせて泥の下にもぐってしまうらしい。
スコップで掘じくってみればおもしろそうだけど、みんながみんなそんなことをしたら環境破壊になってしまう。

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それでもある場所で、小さなカニの大群を見た。
丸くて青っぽい色をしているから、これは軍隊ガニと称されるミナミコメツキガニらしい。
わたしが近づくと、爆撃機に追われる敗残部隊のように、まとまったまま移動して逃げていく。
さらに近づくと、防空壕に避難する敗残部隊のように、われ先にと土の下にもぐってしまう。
しばらく待機していると、様子をうかがう敗残部隊のように、穴ぐらからそろそろと姿をあらわす。

ミナミコメツキガニについては、たまたま逃げおくれたものをつかまえたので、他のカニといっしょに紙カップに入れて写真を撮った (上の写真)。

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干潟にはほかにもカニがいる。
たまたま小さなカニが泥の上にうずくまっているのを見つけた。
甲羅の長さが2センチほどで、つい気安く指でつまみ上げたらハチに刺されたような痛みが走った。
小さいくせにはさみの威力はなかなかのもので、ふりほどこうとしても、とがった先端が指にくいこんで容易にはなれない。
やっとひきはなしたときには、相手ははさみだけを残してどこかへトンズラしていた。
最後の2枚の写真は、そのときのカニが残したはさみと、穴があいたわたしの指。

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都会の人間にとって、これほど広大で天然のままの干潟を歩く機会はあまりないだろう。
そのうち道路上からわたしを見かけたらしい家族連れのバンが、どーんと10メートルの切れっぱしに乗り入れてきた。
そのへんを潮どきにわたしが先に退散することにしたけど、道路上からふり返ってみたら、この家族がやはり干潟を歩きまわっているのが見えた。
はじめて陸上に上がった生きものの子孫であるわたしたちは、どこか干潟になつかしさを感じるのかもしれない。

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2014年11月20日 (木)

西表Ⅱ/マングローブ

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今回の旅でちょっと誤算だったのは、思ったより涼しい日が多くて、ウエットスーツを持ってないわたしは泳ごうという気になれなかったこと。
若い人なら泳いで泳げないほど寒くもないけど、なにしろわたしは若者じゃない。
血圧も高いんだし。

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泳がないなら何をすればいいだろう。
カヌーに乗ってマングローブの森をうかがうツアーなんてのがある。
これならマングローブに肉薄できて、それをじっくり観察したいわたしには好都合かもしれない。
でも、まちがえるとスポーツになってしまいそう。
わたしは運動をするために西表まで出かけたわけじゃない。
若いモンに混じって、いまさら肉体を鍛えるなんて、年寄りの冷や水といわれてしまいそう。
女の子とペアを組んでカヌーっていうのもステキだけど、わたしはひとり旅で、そんな奇特な相手がいるわけじゃないし。

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マングローブというのは汽水域、つまり淡水と海水の混じるところに生える植物群の総称で、ということは浦内川や仲間川のクルーズに参加するとガイドが必ず説明することだから、認知症ぎみのわたしもおぼえてしまった。
なんでもオヒルギ、メヒルギ、ヤエヤマヒルギ、なんとかヒルギ、かんとかヒルギがあるそうで、ぐいっと根をはっているのが雄ヒルギ、そうでないのが雌ヒルギと、ここまでややこしくなると、もうおぼえられない。
汽水域だから海の魚も川の魚もいるわけで、テッポウウオなんて珍しい魚も西表で見つかったことがあるそうである。
ほかにも大シジミやガザミやアナジャコなど、酒のつまみに好適な生きものも多いらしい。
博物学的にこんなおもしろいところはないのである。

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そういう事情でマングローブの森に関心をもったわたしは、あっちこっちで、その根もとを興味津々でのぞきこんでみた。
11月のはじめは大潮だったらしく、西表に数多い川の河口には広大な干潟がひろがる。
干潟はとうぜんながらマングローブにふちどられているから、カヌーに乗らなくても、道路からちょくせつその根もとに近づける場所はたくさんあるのである。

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マングローブの森はその中にさまざまな生きものを育んでいて、生態系の維持におおいに貢献しているそうだから、そばによってじっくり観察すれば、めずらしい動物がたくさん見られるのではないか。
しかし、期待が大きすぎたせいか、干潟でそんなにたくさんの生きものが見られたわけではなかった。
潮が引いたあとの干潟にたくさんいたのは、ウミニナとよばれる巻貝の1種とヤドカリぐらいで、ほかにシオマネキやコメツキガニなどの甲殻類がすこし。
近くに寄ってみてもそうだから、カヌーの上からもとくべつなものが見えるとは思えない。
というわけで、けっきょくいちどもカヌーに乗らなかった。
でもこれについては慙愧の念もいくらかある。

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2014年11月18日 (火)

西表Ⅱ/宿屋の2

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西表島には安い宿がたくさんある。
食事をつけなければ2500円なんて民宿もあり、わたしも利用したけど、ヘタな山小屋よりは待遇はいいだろう。

西表に上陸して最初の晩は、かって知ったる民宿カンピラ荘に泊まった。
民宿はたくさんあるけれど、この宿は季節を問わず安定して営業していて、リピーターも多いらしい。
ほかの民宿は休業していたり、宿の人間がどこかに行っちゃって、呼べど叫べど誰も出てこないなんてことが多いのである。

カンピラ荘では、風呂なんかいちども使わなかったのに、見栄をはってバストイレつきの部屋にしてもらった。
ただ食事については、偏食のわたしはそのへんの食堂に行って好きなものを食べるほうがいいので、つけてもらわないことにした。
つまりバストイレつきの素泊まりである。
行き当たりばったりで、なにを基準に宿を選んでいるのかサッパリわからないけど、こういうのも認知症のせいだろうか。

午後の4時ごろになって、そのへんに食事に行ってみたら、お目当ての食堂はタッチの差で営業が終り、もうひとつはハナっから休業していた。
あわてて宿にもどり、やっぱり食事もつけてくださいとお願いする。
すると2食とバストイレつきが6000円になる。
安いか高いか意見の分かれるところだろうけど、メシは食わないわけにはいかない。

晩メシが口に合わなかったのはこのカンピラ荘だ。
宿の名誉のためにいいそえると、質・量とも不足はなしで、わたし以外の宿泊者は文句をいわずに平らげていたから、カンピラ荘に責任はない。
欧米人のカップルや、バックパックを背負ったひとり旅の若い娘も泊まっていたくらいだから、ここは西表ではかなり有名な宿なのである。

カンピラ荘のあと、わがままを聞いてもらったおかげで、白浜の旅館に3連泊したことはすでに書いた。
夜中にカップラーメンを食べたことも書いた。
オフシーズンだったからいいけど、部屋が満室になる季節だったら、とても夜中にラーメンは食べられない。
この旅館にかぎらないけど、外見は台風にも負けないくらい頑丈にできているのに、西表の民宿はたいてい歩くと廊下がギシギシと音をたてる。
これでは夜中にうろうろしたら不審者と思われてしまう。

上記のいずれの宿も予約なんかしていなかった。
ネット予約なんかするよりも、じっさいに目で見て選べるから、7月8月のピーク時をのぞけばこのスタイルのほうがいいと思う。

無線LANが使えないことも共通していたけど、どの宿も桟橋ターミナルが近く、そこまで行けばインターネットもできるから、とくに不便でもない。
夜中に出かけてメール確認をしようとしたら、桟橋は明かりが消えてまっ暗だった。
仕方ないから飲み物の自販機の明かりで iPod を使ったこともある。

添付したのは、泊まってみなかったけど、大原にあったなかなか好感のもてる民宿。

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2014年11月17日 (月)

西表Ⅱ/喜納昌吉さん

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ほんとうは宿屋の続きを書こうと思ってたけど、ちょうど沖縄の首長選挙が終わったから、それについて書く。
あまり高尚な政治問題を期待されても困るんだけどね。

石垣島にいるあいだは、晩メシは行きつけの 「金ちゃん食堂」 に行った。
ある晩行ってみたら、カウンターのわたしのとなりに若い娘が座っていた。
さっそくくどこうかと思ったけど、最近のわたしは身のほどを心得ているから、そういうことはしないのである。

「金ちゃん食堂」 で石垣在住のわたしの友人と話していたら、ピンク色のTシャツを着た4、5人のグループが入ってきた。
友人がその中のひとりを知ってますかと耳打ちする。
すぐにわかった。
団塊の世代なら沖縄発のロック・スター喜納(きな)昌吉さんのことは知っていると思うけど、ピンクTシャツのリーダーがその人だったのである。
彼は今回の沖縄県知事選に立候補しており、選挙活動のあい間にこの食堂に立ち寄ったというわけだ。

知事選の結果はすでに出た。
翁長雄志さんという辺野古移設に反対する候補が当選したけど、よくわからない。
ほんとうにに反対するなら、はっきりそういうべきで、そう、喜納昌吉さんみたいに。
そのへんが曖昧なのは沖縄県民の迷いを象徴しているように思える。
これからは翁長雄志さんも政府とのかけひきに転ずるのではないか。

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喜納昌吉さんはなかなか楽しい人だった。
わたしと握手したあと、店にあった三線で即興の演奏を聞かせてくれた。
へそまがりのわたしだって、相手に面と向かったら、頑張ってくださいていどのお世辞はいう。
でも考えてみたら、わたしには沖縄での選挙権がないのだった。

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西表Ⅱ/宿について

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わたしはこの旅で5つの宿を転々とした。
白浜で泊まったのは○○旅館。
伏せ字にしたのはお世辞だらけの口コミ情報ではなく、本音でものを書こうと思っているからだけど、べつにこの宿に恨みがあるわけじゃないから、いやみや辛辣なことが書いてあるわけじゃない。
だいたい白浜に “旅館” とつく宿はひとつしかないから、調べればどの宿かわかってしまうので、伏字の意味はないんだけどね。

1枚目と2枚目の写真が○○旅館だ。
わたしの部屋は二階の角部屋で、風通しがよく、窓の正面は海だから展望もバツグン。

○○旅館はいい宿だった。
このまえの晩に泊まった民宿は、ここだってけっしてわるい宿ではなかったけど、夕食が、いってみれば大衆の好みを平均化した幕ノ内弁当みたいなもので、偏食・小食・ベジタリアンのわたしの口に合わなかった。
そんなことを○○旅館でこぼしたら、ウチは海のものと野菜が主体です、刺身もつきますという。
刺身があればほかはいらないくらい、わたしはそれが大好きである。
おかげで毎晩泡盛を呑んで、おつまみをつまんで、夜中にカップラーメンを食べるという、わたしにとってはしごくまっとうな食事にありつけた。
いい宿というのはこのていどのことなんだけど、これも宿泊客がわたしともう1人しかいなかったせいで、夏の繁忙期じゃこうはいくまい。
わがままをきいてもらったおかげで、わたしはここに3連泊した。

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ほかの宿についてもいささかのゴタクを。
3枚目と4枚目は石垣島じゃちっとは知られた素泊まりの宿。
鉄格子がはまってれば刑務所か留置場みたい。
これでもテレビ、エアコン、冷蔵庫などが備わっていて、ここから見えないけど、バストイレつきで一泊3700円。
ドミトリー形式でよければもっと安い部屋もあるけど、わたしはいちおう、多少は贅沢できる勤労者なのだ。
西表島では2500円の宿にも泊まった。
トイレが和式というのが難点だけど、それ以外はべつに文句もない宿で、帰りにサトウキビをお土産にもらってしまった。

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5枚目は西表にある素泊まり民宿。
石垣、西表に素泊まり専門の民宿は多く、食事をつけたって5~6000円で泊まれる。
刑務所みたいじゃイヤっていう若い娘もいるかもしれないけど、山歩きに凝って大部屋にザコ寝の山小屋に泊まったことのあるわたしに過不足はない。
こういう宿は、夏になると長期に居座っちゃう客もいるというから予約が必要だ。

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6枚目は石垣の桟橋から近い、新婚さんでも泊まれるゴージャスなホテル。
こんな部屋にばかり泊まっていたら破産してしまうけど、いちおう比較までに。

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2014年11月16日 (日)

西表Ⅱ/刺し網の3

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ボツにするのもなんだから、刺し網の写真をみんな載せてしまうぞ。
上から赤い魚の幼魚。
無責任な名前だけど、赤くてこれに似た魚は多いから、いちいち調べちゃいられない。
つぎはタイみたいな魚の幼魚。
幼魚じゃないかもしれないけど、これも似た魚はたくさんいるからねえ。

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魚の名前を調べるのは大変だ。
サンゴ礁にはモンガラカワハギやナポレオンみたいに一目瞭然の魚も多いんだけど、似て異なる魚もたくさんいる。
わたしのブログでは、わかっているかぎりできるだけ正式の名前で呼ぶつもりだけど、博物学的に原則を重視すると、たとえば3番目の写真なんか、フウライチョウチョウウオらしいけど、ひょっとするとトゲチョウチョウウオかもしれない。
尻尾が写っていれば見分けがつくんだけど、顔だけじゃ断定は危険だ。
うっかりしたことを書くと専門家に指摘されちゃうかもしれないので、こういう場合はアバウトであることは承知のうえで、チョウチョウウオの仲間とだけいっておくほうがまちがいがない。

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4番目はダイバーにはおなじみの魚で、わたしも海中で見たことがあるんだけど、はてね。
こういうマンボウみたいな体型の魚で有名なのはツバメウオだ。
しかしこれはそれじゃなさそうだ。
調べるのがメンドくさいから、調べない。

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5枚目からはわりあい見分けやすい連中ばかりで、コチ、ハモ、サヨリ、やたらに獲れるアバサー (ハリセンボン)、そして宿主からはぐれたコバンザメ。
コバンザメは食べないみたいだけど、ほかは見てくれはわるくても美味しい魚ばかりだ。

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刺し網の禁漁期は6月から9月で、この時期は海水温が高く、網にかかったえものが腐ってしまうのだそうだ。
この時期は人間が押し寄せる時期なので、島の人たちの関心はそっちにいってるかも。

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2014年11月15日 (土)

西表Ⅱ/刺し網の2

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刺し網からえものをはずすにはコツがいる。
ガザミのようなカニは、複雑でややこしいかたちをしているから、これをこんがらがった網からはずすのは大変だ。
わたしみたいに短気な人間は、見ているだけでいらいらして、そのうち網をぶった切ってしまいたくなる。
漁師たちは千枚通しのような器具ひとつで器用にそれをやってのける。

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さわると危険な魚も多いから、あるていど知識と経験も必要だ。
3枚目の写真に写っているアイゴなんて魚は、食べると美味しいんだけど、危険な魚のひとつである。
エイもよく上がるけど、最初に尻尾の毒針を切断しなければならない。

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フグやハリセンボンは、陸に上げられると空気を呑みこんでぷっくりふくれる魚である。
そのままでは網からはずしにくいから、まず千枚通しでお腹にぷすっと穴をあける。
痛そうだけど、野生動物というものは天敵に頭からかじられる可能性がつねにあるのだから、同情しても仕方がない。
ハリセンボンは市場に出さないけど、酒のおつまみや汁のダシにはなるので、手伝いにきた老人たちがその場で皮をむいて持って帰ることもある。
水揚げ作業には近所のヒマな老人たちが手伝いに駆けつけるのである。
ヒマなのにまだ元気な老人も多く、このあたりではまだいい意味での共同体精神が残っているのだ。

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大きなゴイシウツボが揚がった。
お腹を割いてみたら、呑みこまれたばかりで、まだそっくりそのままの魚が出てきた。
ウツボも気のドクである。
魚を呑みこみ、満腹して、満足して、家に帰るとちゅうで自分が刺し網にひっかかっちゃって。
でもこういうことはめずらしくないだろう。

わたしは伊豆で定置網の水揚げを見たことがある。
定置網は刺し網よりずっと大規模な漁業だから、えものは太いホースみたいなものからどうーっと吐き出されてくる。
そんな中にかならず、呑みこんだばかりの魚の尻尾が口からはみだした魚が混じっている。
定置網の中では逃げ場がないから、これはいいというんでえものを追いかけて、つかまえて、呑みこんで、よく考えたら自分も定置網の中だったというドジな魚である。

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ゴイシウツボも開腹手術で取り出された魚も、ポイと海に捨てられた。
すると、おこぼれをもらおうと待ちかまえていた魚たちがわらわらと群がってくる。
まるで生き馬の目を抜くこの社会の縮図のようである。

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2014年11月14日 (金)

西表Ⅱ/刺し網

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わたしが市場だとか、博物学みたいなものに関心があることは、このブログを読んでいる人ならとっくにご存知だ。
今回の西表島では白浜というところに3泊した。
ここでは毎朝刺し網が揚がる。
海の漁業方法にはいろいろあるけれど、見ていておもしろいのは定置網や地引網、刺し網である。
こういう漁法だと、小イワシからアジ、タイ、カツオ、ヒラメ、イカ、フグ、エイ、クラゲ、大きなものではウミガメやイルカまで、さらに沖縄ではめずらしい熱帯魚など、いろいろな魚が一網打尽でかかるから、その水揚げはヘタな水族館よりおもしろいくらい。
それで今回の旅の報告は、刺し網の写真からだ。

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白浜の刺し網漁師は、かってはたくさんいたそうだけど、現在では3人ぐらいになってしまったそうである。
ご多分にもれず高齢者が多い。
原因は不漁である。
わたしなんかが見ると大漁じゃないかと思えても、いやいや、むかしはこんなものじゃなかったよといわれてしまう。
いくらたくさんかかっても市場価値のないえものでは仕方がない。
ウツボやハリセンボンなんかいくらかかっても値段がつかないのだそうだ。
しかも石垣島だけでは需要がかぎられているから、飛行機で沖縄本島まで運ぶことになり、価値のない魚ではますます、輸送費も出ないということになる。
漁船の燃料代や網の買い替えなどの必要経費もかかるし、漁師の生活はけっして楽じゃないのである。

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刺し網をながめているだけで、この国の農業、漁業に共通する問題が見えてくるけど、おりしも沖縄では県知事さんの選挙のまっ最中だった。
立候補している喜納昌吉さんとはあとでいっしょに飲む機会があった!
県外人のわたしに投票する資格はないから、写真で実情を伝えるくらいが精いっぱいなんだけど、政治家にはぜひこういう僻地の漁師のことも考えてほしいものである。
この旅でもどっちかというと、肉より刺身主体の食事ばかりしていたわたしは、漁業の将来にはとくに切実な考えを持っているのである。

この白浜で、わたしは印象的な漁師に出会ったが、彼のことはもっとあとで書く。

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2014年11月12日 (水)

帰ってきました

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帰ってきましたよ、八重山から。
帰ってきたとたん、絶妙のタイミングで身内が入院という連絡があり、これから田舎までひとっ走りだ。
そういうわけで旅の報告はいつになるかさっぱりワカリマセン。

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2014年11月 9日 (日)

From Iriomote 03

いよいよ西表島の最後の夜。
レンタカーを借りっぱなしなんて贅沢をしたもんだから、今夜は罪滅ぼしに2500円の宿デス。

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2014年11月 8日 (土)

From Iriomote 02

いま夜中の西表島でカップラーメンを食ったところ。
あと旅も3日。意外と涼しいので泳ぐ気にもなれず、毎日途方に暮れてますワ。

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2014年11月 4日 (火)

From Iriomote 01

いま夜中の3時の石垣島です。
昨夜はこちらで落ちあった友人たちと派手に盛り上がり、今日からほんとにひとり旅の開始です。
詳細は後日ですが、中間報告をしとかないと、アイツまだ生きてんのかって、口の悪いのがいますんで。

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2014年11月 1日 (土)

悪魔のささやき

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耳もとに悪魔のささやき。
おまえみたいな老人が働けば、それだけ若い人の仕事を奪うわけだ。
高血圧でいつぽっくり行ってもおかしくないおまえが、なんでそんなに仕事をする必要があるのか。
まごまごしていると貯金を使いきらないうちに死ぬことになるぞ。
休め、休め。

そりゃそうだと、わたしはこっち向きのささやきには素直なのだ。
怠け者の論理というやつだな。
そういうわけでまた仕事を休んでしまった。
なんだっていいのだ。
人生なんて、人生なんて。
いえ、けっして生活保護を受けようって気はありません。
なかなか神さまは天罰を与えてくれないから、こっちからそのふところに飛び込むことにしただけ。

明日からまた西表島に行ってきます。
無線LANがあることはわかっているから、あちらから更新をするかもしれませんけど、ひょっとすると10日間ばかりブログをご無沙汰するかもね。
えい、くそ、飛行機落ちろ。

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