西表Ⅱ/赤い花
むかし沖縄を旅したとき、民宿の主人から、沖縄で花がいちばん咲くのは冬だよなんていわれたことがある。
じっさいに来てみると、かならずしもそうではないようだけど (この旅は11月始め)、それでもいくつか目についた花がある。
じつは前回の西表訪問で、咲いている花の名前がほとんどわからず、つくづく無知を知らされたわたしは、今回の旅ではあらかじめ沖縄に咲く花の写真をネットで収集して、自分の専用のデータベースを作っていった。
ところがそうやってもやはりわからない花はあるものだ。
西表島をドライブしているとき、あちこちで見かけたきれいな花の名前がわからない。
けっきょく帰京して調べてわかったこの花の名前は、トックリキワタ。
聞いたことがないし、おぼえにくい名前だと思ったら、じつは「徳利木綿」と書くのだそうだ。
実か葉が徳利 (トックリ) に似てんのかなと思ったけど、原産地の南米での名前が “酔っ払いの木” というのだそうで、そのへんから命名されたらしい。
タネを明かされると、美人がいっぺんにおばさんに化けたようである。
わたしがパソコンで使っているハンドルネームは “酔いどれ李白” だから、これからは “トックリ李白” にするか。
もうひとつは、テイキンザクラ。
「提琴桜」 と書くのだそうで、提琴というのはバイオリンのことだそうだ。
タネを明かされると、こちらはおばさんが美女に化けたようなイメージである。
葉のかたちがバイオリンに似てるんだそうだけど、わたしにいわせるとどこが?って感じ。
ほんらいは春に咲く花だそうだから、咲遅れか狂い咲きで、年じゅう夏の沖縄じゃめずらしくないらしい。
こちらは西インド諸島が原産だそうだ。
日本では外来生物の害がよくいわれるけど、美人ならべつか。
トックリキワタなんか、庭や花壇じゃなく、山の中で、もともとあった雑木みたいにのさばっていたから、つい沖縄原産の花かと思ってしまう。
植物の世界ではグローバル化がどんどん進んでいる時代だから、原産地をどうのこうのといっても仕方がないんだけど。
トックリキワタもテイキンザクラもさっそくデータベースに加えておいた。
こうやってすこしづつデータを増やしていけば、将来は立派な沖縄専用の植物図鑑になる。
そのころわたしが生きているかどうか定かじゃないけどと、ただいま終活中のわたし。
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