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2014年12月 5日 (金)

西表Ⅱ/芭蕉庵

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西表島にはかって温泉があったそうである。
現在はそれを汲み上げる費用が負担になって、温泉は廃業したそうだけど、温泉宿は「ジャングルホテル・パイヌマヤ」 という名前でそのまま残っている。
バス通りからこのホテルへ入ってゆく道は、褐色のサンゴが敷かれ、両側は天然の藪という感じで、ちょっと雰囲気がおもしろい (最初の写真)。
客がいてもいなくても、路線バスはわざわざこのホテルの玄関まえに横づけしていくから、西表ではわりあい高級なほうのホテルであると思う (泊まったことがないからわからない)。

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バス通りからホテルへ入るカドっこに、土産もの屋のような一軒家が建っている。
レンタカーでドライブ中、ジュースでも買おうと寄ってみた。
おもてから見ると、沖縄の赤瓦民家を模した魅力的な平屋で、のれんのかかった引き戸式のガラス戸をあけて入る。

これはじつはただの土産もの屋ではなく、「芭蕉庵」 という草木染めを扱う民芸品店だった。
ジュースなんか売っていそうにないけど、もののついでで入ってみた。
店内に、四方10メートルをパッと明るくするようなオーラを備えた女性がいて、さんぴん茶でよければ出してあげますという。
あわててそれを制し、店内を見まわした。

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展示されているのはストールやTシャツ、フリークロス、そしてポーチのような小物の繊維製品で、女性の説明では、みんなモモタマナやマングローブなどの沖縄の固有植物、もしくは自家製の藍で染めたものだそうだ。
店内の一角に古色蒼然とした機織り機が置いてあって、すべて手作りだという。

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高いんでしょうねと、貧乏人のわたしはつい不躾けなことを聞いてしまう。
そんなことはありませんよといって、彼女はTシャツのタグを見せてくれた。
なるほど、よそいきにするつもりなら、わたしにも買えない値段ではなかった。
色は淡いブルーや褐色のものが多くて、赤や黄色なんて派手なものはないけど、若い人が着てもけっしておかしくはない、落ちついた色調のものが多い。

この女性は福岡の人で、東京で勤め人の経験もあるというから、旅好きなOLが旅先で民芸品にふれ、のめり込んで、ついには現地に永住までしてしまったというパターンらしい。
店では染色の体験工房もやっているというから、この店からまた新しい創作家がそだつ可能性もある。

独身とは思えないけど、あまり笑顔の愛くるしい女性だったので、帰京してからついネットでこの店のことを調べてしまった。
店の代表は男性になっていたから、これが彼女のダンナかもしれない。
スコーシだけ気になる。

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