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2014年12月 2日 (火)

無理を無理やり

西表島の話ばかり書いているうち選挙になっちゃった。
選挙とは関係ないけど、今日の夕刊で池澤夏樹サンがいろいろ弁解していた。
なんでも池澤サンが 「桃太郎」 の童話をネタに書いた文章に、教師出身で議員をしたことのある義家なんとかサンがいちゃもんをつけ、池澤サンのまたそれに対する弁解だ。

池澤サンの文章というのは、桃太郎はなんの罪もない鬼の島を侵略して財宝を奪ってきたのだから、悪人であるというもので、童話の常識をひっくり返すもの。
これだけならへそ曲がりのわたしでも考えそうな逆転の発想だけど、義家サンにはこれが暗に日本の侵略主義を非難する文章になっているのが気にいらない。
もっとべつの見方をすれば、池澤サンの文章は朝日新聞の論調そのもので、義家サンの文章は産経新聞に載ったものだから、反朝日の立場からの意見だともいえる。

両方ともいちおう識者とよばれる人だから、ああいえばこういうのはお手のものだ。
池澤サンの文章を学生に読ませれば、作家になるために屁理屈をこねる技術、問題をそらすテクニックなどをみがくための参考になるかも。
でも、童話の 「桃太郎」 を現実の歴史の比喩に使うのはどうなんかねえ。

「桃太郎」 という童話がいつできたのかしらないけど (室町時代って説もある)、将来の日本が他国に侵略することになるなんて、作者は夢にも考えたことはないだろう。
そんな幼児向けの童話をもってして、日本人一般の心性について書くのは、そりゃマズイ。
池澤サンはこの童話に、侵略戦争の思想以外のものはないというけど、“鬼” という表現がされていれば、それはソマリアの海賊みたいに、日ごろから悪いことをしてたんだろうと考えるのが当然だ。
だから桃太郎は多国籍軍みたいなものでアルという屁理屈だって成り立つわけだ。

とにかく朝日の論調には無理なところがあるのだから、その肩をもつような文章を書こうとするとどうしても無理が出る。
無理が出るものを無理やりに書いてもらおうというのだから、原稿料は高いにちがいない。
わたしも朝日に書いてみたい。
高いという原稿料をもらってみたい。
無理だよな。

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