ロシアⅢ/百貨店
日本の新幹線が東京駅に着くと、清掃係のおばちゃんたちがいっせいに車両にとりついて、あっという間に車内の清掃をすませる。
これは 「7分間の奇跡」 と呼ばれて、外国人観光客たちの賞賛の的になっているそうである。
わたしはロシアでこの対極にあるような作業を見た。
対極?
もうやたらに作業が遅いのである。
おおらかなロシア人に迅速なんてものを要求するのが、そもそもの間違いみたいな気がするんだけど、それとも日本人がスピードに関していささか病的なのか。
あちらがラーダ (ロシア製の車) なら、日本はGTRだもんな。
ゴスチーヌィ・ドヴォールというのはサンクトペテルブルクにある古典的な百貨店である。
建物の高さ制限のある街のことだから、上ではなく横に広がった百貨店で、建物の外周がそのままアーチ型のみごとなアーケードになっている。
最初の画像はグーグルの衛星写真で、○をつけた変則的な台形の建物がそれ (△はわたしの泊まっていたエムホテルだ)。
百貨店はいちばん長い一辺が400メートルくらいあるから、敷地面積はそうとうに広い。
しかし店舗が入っているのは道路に面した1階、2階だけで、まん中へんは住居かなんかに使われているようだった。
建物の外観は後続の写真を見てもらうことにして、わたしのホテルから路地に出ると、100メートルも行けばもうこの百貨店だ。
サンクトペテルブルクに到着した翌日は、ここへ石けんとスリッパを買いにいった。
ホテルの備品の石けんはろくなものがないし、エムホテルにはスリッパもなかったので。
そこでながめたかぎりでは、この百貨店でいちばん多いのは、表参道ヒルズみたいにファッション関係の店舗で、わたしにはまるっきり縁のないものだった。
百貨店のはじっこのほうに雑貨店があったので、首尾よく品物を手に入れて、レジに持っていった。
このあたりまでは日本と同じシステム。
ところがレジの清算が、日本のスーパーの秒速に比べると分速ていどで、じつに遅い。
建物が古いから作業もソ連時代のやり方をそのままなぞっているのかも知れない。
と思いたくなるほど遅い。
レジスター内部のパソコンが壊れてたのか、それともロシア製というのはそういうものなのか、見ると数字を打ち込むたびに、レジ係りは品物の値段と数をべつの紙に書き写していた。
ロシアに生まれていればそんなことはなかったと思うけど、日本に生まれたおかげで、わたしもつい病的にイライラ。
日本のレジをロシア人が見たら、これもまた奇跡だと思うんじゃないか。
生鮮食品は売ってないようだった。
ようだったというのは、周囲1キロちかくもある百貨店を一周して確認するだけの根性がなかったから。
中国もそうだったけど、こういう食品は鮮度において、生産者がちょくせつ販売する市場にかなわないってことらしい。
ベジタリアンのわたしは野菜や果物にも興味があったんだけどね。
モスクワにもどってからは、近代的なスーパーにも行ってみた。
棚に品物が山積みで、客は欲しいものをカゴに入れてレジに持っていくだけの、もともとは資本主義の本家であるアメリカが生み出したシステムだ。
こちらは客が多かったせいもあって、レジもアメリカ式をなんとかクリアしているようだった。
共産党時代の残滓をかろうじて眺められるのは、モスクワではなく、やっぱり古都のサンクトペテルブルクにしかずである。
最後の2枚の写真はモスクワのスーパー。
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