ロシアⅢ/レンブラント
2年前にいちど見学したことのあるわたしにとって、今回のお目当てはレンブラントである。
前回の旅のあと帰国してから、いろいろ勉強して、エルミタージュにレンブラントのコレクションが多いことを知り、残念に思った。
どのような叱責もあまんじて受けるけど、前回のわたしがぼんやりしていて彼の絵を見逃してしまったことは、このブログをずっと読んでいる人ならご存知のはず。
問題作 「ダナエ」 なんてまったく記憶になかった。
理由はすでに書いているから繰り返さない。
やみくもに歩き出したので、どこにレンブラントがあるのかわからなかったけど、まずどこかの部屋で 「イサクの犠牲」 という絵を発見した。
どこかの部屋っていうのも頼りない話だけど、この絵は彼の他の作品とはべつの部屋に展示してあった。
いまからもういちどその部屋に行ってみろといわれても、キットわからないと思う。
大半のレンブラントの作品は、孔雀石でできた大きな花瓶が飾られている 「評議会の階段」 を上がった、正面の部屋にある。
「イサク」 も大作だけど、エルミタージュでレンブラントといえば、ほかに 「放蕩息子の帰還」 や 「ダナエ」 がよく知られている。
これはいずれも縦横が2メートルを超える大作で、「イサク」 とはべつの、ひと部屋すべてレンブラントという部屋にあった。
「放蕩息子」 のほうは2年前に写真に撮っているから、ぼんやりしていて画家の名前に気がつかなかっただけで、観ることは観たらしい。
「ダナエ」 はぜんぜん記憶にない。
このふたつの絵は同じ展示室の対極というべき場所に展示されているから、どうして 「ダナエ」 に気がつかなかったのだろう。
そのとき案内をしてくれたライサさんは女性だから、イヤらしいってことで、意識的にこの絵を観せなかったのかも。
「放蕩息子」 については、同じレンブラントでも 「夜警」 などと比べると、これが同じ画家の作品かといいたくなるほど印象がちがう。
でもこれは彼の晩年にちかい作品だから、画家の心理や画法の変化であるといわれれば、まあ、そうでしょうねというしかない。
「ダナエ」 は、この絵を観て発情しちゃった変態男から、劇薬をかけられたというくらい、世にもまれなイヤラシイ絵である。
でも彼女 (ダナエというのは神話に登場する美女の名前) のボディはわたしの好みではない。
なんだか妊婦みたい。
ルーベンスの絵を観るまでもなく、むかしはこういうふくよかな女性が美しいとされた時代があったのだろう。
顔だけがどこかで見たハリウッド女優みたいで、生々しく現代的であるという印象は変わらない。
前回は無知な一般大衆にすぎなかったわたしだけど、今回はレンブラントのオーソリティーなのだ (そのつもりなのだ)。
あいかわらずアホらしいことばかり考えながら、わたしは絵の全体をじっくりと眺め、同時にぐっと近づいて筆さばきなどを観察する。
これが400年前の画家の筆跡なのかと、不思議な感覚におそわれながら。
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