ロシアⅢ/イサク聖堂の2
展望台に上がるためには階段を上らなければならない。
若いころなら駆け足でも登れたていどの螺旋階段だけど、わたしってもう若くないからね。
あとから来た太った女の人といい勝負で、ぜいぜいと息を切らせて登るはめになった。
エレベーターやエスカレーターをつける予定はぜんぜんないみたい。
展望台には見学者がたくさんいた。
吹きっさらしだから風が冷たいけど、もちろん展望はいい。
ほかは知らないけど、サンクトペテルブルクの街に、一般観光客がここほど高所から景色をながめられる場所がまだあるだろうか。
コインを入れて使用するでっかい望遠鏡もある。
街の景色をながめているうち、パリやローマもこんな景色かなと思った。
写真や映画で見たパリやローマはもっと大きいようだけど、風景の基本的な部分は、サンクトペテルブルクと欧州の街にそれほど大きな違いはないだろう。
あちらこちらの煙突から盛大に湯気が上がっているのが見える。
すぐ近くの建物で結婚式をしているのまで見えてしまった。
サンクトペテルブルクの空の下、さまざまな人生をのせてネヴァ川は流れる・・・・・・って、シャンソンになっても不思議じやないね。
街の反対側に目をやると、眼下に元老院広場の公園が広がり、その先にネヴァ川が流れていて、向こう岸には建物の連なる平坦な景色がどこまでも続いている。
広場には有名な「青銅の騎士」像もあるはずだけど、木々のこずえががじゃまをしてちょっと見えにくかった。
日本人がパリやローマにあこがれるのは、石造りの中世の街にあこがれる部分も大きいのではないか。
アルミの近代的なビルの立ち並ぶパリや、ガラス張りでピカピカのローマなんか誰が見たがるだろう。
だとしたら、サンクトペテルブルクはそういう景色をもっともよく残している街のひとつであるといっても間違ってないと思う (中国の上海も石造りの建物が多かったけど、歩いているのはアジア人ばかりだからねえ)。
まだまだ世界を見てまわりたいわたしでも、サンクトペテルブルクを見たあとは、ヨーロッパの他の街を見ずに死んでも未練はないような気がしてきた。
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