ロシアⅢ/駅の構内
サプサンというのはロシア語で鷹のこと。
この名前のロシアの新幹線は、サンクトペテルブルクとモスクワを4時間で結んでいる。
こまごましたことは2年前に書いているので、今回はこのていど。
日本で乗車券を購入してあったので、わたしはメトロでモスクワ駅に向かった。
モスクワ駅はサンクトペテルブルクにあり、レニングラード(サンクトペテルブルク)駅はモスクワにという具合に、その都市の名前を冠した駅が、ロシアではべつの都市にあることはすでに書いた。
駅のようすは前に下見してあるから、なんの問題もなかった。
ただ、このころにはロシアの時間がわたしの時計と1時間ずれていることは心得ていたけど、なんかの都合で列車だけは以前のままだったりしたら、乗り遅れてしまう。
そんなことはありそうにないけど、バウチャー方式のロシアでは、ひとつ予定が狂うとあとの予定がぜんぶ狂い、ヘタすれば強制国外退去かシベリア送りかもしれない。
心配性のわたしは発車時刻の2時間も前に駅に行ってしまった。
おかげで時間をつぶすのに困った。
駅の構内の簡易食堂で寿司を食ったのはこのときである。
寿司を食べているわたしの前に、わざわざ移動してきた美人がいたのもこのときだ。
話しかけるほど図々しくないのがわたしの不運である。
この4枚の写真は、すべて駅構内の寿司スタンドにて。
モスクワ駅には改札がない。
乗客は、ふつうの列車の場合は、待合室からそのままホームに行って目的の列車に乗り込む。
切符は列車の乗車口でチェックされる。
サプサン号も同じやり方だけど、こちらはホームの上に専用の入口があって、テロ犯タイプの人は手荷物の検査をされる。
時間が以前のままだったら困るから、発車1時間まえあたりから専用の入口に行って、閉まっている扉を押したり引いたりしてみた。
そんなわたしに、まだ早いわよと声をかけてくるおばさんもいた。
言葉はわからなくても、この場合ほかの言葉は思いつかない。
30分ほど前になって、ようやくホームに入ることができた。
がらんとしたホームにたちまち人があふれる。
待つことしばし、やがて遠方からあのなつかしのサプサン号が姿をあらわした。
乗車口に立っている女性車掌にチケットを見せる。
偶然なのか幸運なのか、わたしの目の前のドアが、わたしの座席のある車両だった。
わたしの席は窓ぎわである。
これからまた素敵な孤独の旅が始まるかと期待したら、となりに大男のロシア人が乗り込んできた。
時間が来ると、なんの放送もないまま、サプサン号はしずかに動き出す。
最後の写真は2年前のロシアにて。
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