ロシアⅢ/サプサン号
サプサン号に乗り込んで、オヤと思ったのは、以前に乗ったときは座席が固定で、うしろ向きに乗ったはずが、今回はそうではなかったこと。
眺めると、車両の前半分と後ろ半分では座席の向きがちがっていた。
わたしが座ったのは前向きの席だったというわけだ。
オヤと思わされたことはもうひとつ。
走り出すとまもなく車内サービスがあって、服務員がカートで酒やおつまみを運んでくる。
これはタダである。
のはずだったので、安心してビールとつまみをもらったら、520Pですとお金を要求されてしまった。
どうやらわたしが以前乗ったのはグリーン車だったみたいだ。
チケットの購入を他人まかせにしたので、わたしのことを日本の大富豪であると誤解したライサさんが、いちばんいい席を買ってしまったのだろう。
それともウクライナ問題の制裁で困窮したロシアは、無料サービスなんて悠長なことをいってられなくなったのか。
これはひょっとすると、国際問題が一介の旅人であるわたしにまで影を落とした事例の、よき見本なのかもしれない。
有料のせいか、となりの男性はなにも注文しない。
ひとりで飲むのもワルイからビールをすすめてみた。
彼はロシア人にはめずらしい禁酒組合の会員らしかったけど、それでもすこし打ち解けて、バナナを1本もらい、彼がモスクワの手前で下車するときは握手をして別れた。
サプサン号は雪におおわれた原野を疾駆する。
今回は快晴の空の下、切れ切れの陽光をぶち切り、おとぎ話のようなロシアの村々をかすめて。
わたしは窓に顔を押しつけて、ずっと飛び去る景色を凝視していた。
まるで幼い子供のように。
はじめて宇宙空間に飛び出した宇宙飛行士のように。
このときの映像を3分半ほどのショートフィルムにしてあります。
以下のアドレスをクリック。
https://www.youtube.com/watch?v=UiCE-sp85ac
モスクワまでの中間点でサプサン号が停車した駅はオクロフスカ。
そう、わたしが2年まえに知り合いの、そのまた知り合いの田舎を訪ねるために、深夜に下車した駅である。
駅のそばの雪におおわれた田舎道さえナツカシイものを。
モスクワ到着の1時間ほどまえから、車内モニターが茶道や華道など、日本の文化を紹介するテレビ番組を流し始めた。
わたしは日本で乗車券を購入したから、このサプサン号に日本人が乗っていることは、とっくに当局に把握されているだろう。
KGBの差し金でないとすれば、わたしを意識したVIP待遇なのかもしれない。
最後の写真は飛行機とおんなじ方式のサプサン号のトイレ。
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