カトー君
わたしの幼なじみで、版画家のカトー君から案内が届いた。
今度はメキシコで開かれる国際版画展に出品するのだそうだ。
この版画展は、たしか彼がこの世界で評価されるきっかけになったものじゃなかったっけか。
で、つぎはどこへ行こうかと算段していたところだし、ANAやJALのマイレージカード会員になったばかりだから、今度はひとつメキシコにでも行くかと考えた。
しかし、待て。
こうみえてもわたしはなかなか慎重なところがあって、気軽に海外へ行ってるようにみえても、じっさいには入念な準備と調査を欠かしたことがないのだ。
メキシコってのは外務省の渡航注意報が出ている国じゃなかったっけか。
むかし椎名誠の本を読んでいたら、日本から遠征した屈強のプロレスラーが、強盗に身ぐるみはがれたって話が出ていて、アハハと笑ったことがあるけど、あれもたしかメキシコが舞台だったよな。
さらにウィキペディアで調べてみると
『メキシコでは麻薬絡みの暴力事件が後を絶たない』
『強盗、窃盗、誘拐、レイプ、薬物などの犯罪は昼夜を問わず発生している』
『麻薬組織の抗争などにより毎月約1000人が死亡しており、2007年から2013年10月現在までに約8万人が命を落としている』
『麻薬組織は見せしめのために頭部や手足の切断など、残虐手段で殺害を行うことも多い』
これじゃあの恐怖のイスラム国と違わないぞ。
外務省のホームページによると、イスラム国が蔓延するシリアなんか最高レベルの退避勧告だけど、メキシコの場合、場所によって 「渡航の是非を検討して下さい」 と 「十分注意して下さい」 の二つのランクがあって、検討や注意をすればいいらしい。
この場合の検討注意というのはどうすればいいのだろう。
版画展の会場はメキシコのモンテレイ市というところである。
地図で見るとわりあい米国との国境に近い街だ。
こういう場合、まともに国際空港から乗り込むよりも、国境越えのほうがギャングの裏をかくことになって、安全なのではないか。
アメリカから行く場合、ヒューストンからサンアントニオを経由する路線バスがあるかもしれない。
こうなると矢作俊彦や沢木耕太郎みたくなって、これはハードボイルドだな。
うん、なるほどと、机上で妄想にふける楽しみはあるけど、中国大陸を縦横に走りまわったような若いころならいざ知らず、現実にはいまのわたしの歳でこんなワイルドな旅をする勇気はない。
やっぱり行けそうもないです。
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