先日の新聞
先日の夕刊に歴史社会学者という肩書きの、小熊英二サンという人がおもしろいことを書いていた。
この人は朝日新聞の御用作家みたいなところがあって、その書く内容にときどき反発を感じることもあるんだけど、昨日の文章はなかなか卓見だと思う。
彼は言う(じつは大半は他人の文章の引き写しで、小熊サンのものではないのだが)。
情報技術の革新でパソコンやスマホ上に、いわゆるSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)のような仲良しの集団ばかりが増えちゃって、そういうものに参加している人間は、自分たちの用語や隠語を共有しない相手とコミュニケーションを取りにくくなっている。
キーボードを使わないスマホの普及で、言葉を打ち込んで検索するという文化が衰退し、お手軽に仲良しの情報だけに接するようになった。
このために最近は、自分で調べるグーグルのような検索グッズが人気がなく、フェイスブックのように仲間同士で情報を共有しあうグッズの人気が急伸中だそうだ。
この現象は日本でも起きているという。
こうやって仲間同志の気持ちイイ情報だけに接していると、どうしても情報がかたよって、自分たちだけの意見にとらわれるようになる。
仲間うちの言葉だけで話し、他人の考えを理解しようとしないから、そういう人間が不用意な発言をすると、なにしろ情報の伝達の速い時代なので、たちまち “炎上” なんて事態におちいってしまう。
こうした現象は情報機器(スマホと言い替えてもいいだろう)の普及で、ますます顕著になってきた。
ウームである。
じつは昨日は吉祥寺までiPhoneを見に行ったんだけど、やっぱり現在所有のガラケーのバッテリーを交換しただけで、帰ってきてしまった。
わたしがスマホやフェイスブックに乗り気でないのは、この新聞記事のようなことをひそかに感じているからである。
そんなことはさておいて、小熊サンもたまにはいいことを書くなと感心した。
でもあとがいけないね。
彼が言いたかったのはこっちらしいけど、最後はたちまち朝日新聞の論調にもどって、現政権が仲間同士のカラに閉じこもっていると書く。
他人にわからせるための丁寧な説明に欠けると書く。
そうだろうか。
何度でも「丁寧な説明」をしなけりゃわからない国民のほうに、相手の言い分がどんなものか、斟酌する能力が欠けているような気がするんだけど。
情報機器の普及に問題があるなら、影響を受けるのは、政治家よりむしろ国民のほうじゃありませんか。
下品なヤジや、緩んだ顔での答弁なんて、小熊サンは現政権ばかりを責めるけど、質問するほうはムキになっているようにみえても、重箱のすみをつっつき、他人の揚げ足取りみたいなバカバカしい質問ばかりでは、どっちもどっちだ。
しかもこれはスマホが普及した最近の傾向ではなく、「永田村」ではずっとむかしからそうだったのだ。
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