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2015年8月24日 (月)

西之島

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NHKのBSで録画した 「西之島」 のドキュメントを観ている。
小笠原諸島近くの海底火山が噴火して、溶岩が新しい島を形成しているという天変地異の現況報告である。

たかが海底火山というなかれ。
いまのところ噴火のやむ気配はなく、溶岩の堆積も止まりそうもないから、最初は小さな岩礁ていどだったものが、ずいぶん大きくなった。
そのうちあのへんに、九州や四国に匹敵する新しい領土が出現するかもしれない。
そうなったらもう尖閣だの竹島などとケチなことはいわない。
西ノ島は、武力を使わない平和的な領土拡張政策の見本なのだ。

まあ、そんなにオイシイ話になるかどうかわからないけど、番組はひじょうに興味深いもので、わたしには映画 「2001年宇宙の旅」 をはじめて観たときと同じような興奮があった。

火山がすべてをチャラにして、つまり熱でもってすべての生命を焼きつくして、そのあとに新しい島を作ろうというのだから、これは大陸創生のミニチュアモデルといっていいものである。
現在のこの島はまったく生き物が生存できるところではない。
しかし噴火がやむと、じょじょに植物が生え、小さな生きものが出現する。
やがてなにもなかった島が緑に覆われ、大型の動物たちも棲むようになるだろう。
ここまでいくには長い年月が必要だけど、この島のそうした変化をじっと観察していれば、無から有が生じる現場、つまり島や大陸にどうやって生命が登場したのかという謎を究明できるのだという。

じっさいには噴火している海底火山はここだけではないから、地球上にはほかにも同様の例があって、世界の科学者が注目したことはある。
しかし西之島は最新モデルであるから、最新の研究機器が使えるわけで、やはり注目度は高い。
昨夜の番組でも、火山学者、地質学者、生物学者などが動員され、無人ヘリコプターやドローン、定点カメラ、海底探査機などを駆使して、まだ噴火をしている現場を詳細に観測していた。
無人ヘリで回収した観測機器を船の甲板に着地させるあたりは、ヘタなSF映画顔負けのおもしろさ。

おどろいたのは、こんな焦熱地獄みたいな島の、ほんのわずかに残されたスポットに、カツオドリが生息していたこと。
生命というのはかくも強靱なものなのか。
数十年後にこの島の変転を早送りで眺めたら、黒い溶岩の無人島が、あっというまに生命に浸食されるさまを見ることができるだろう。

緑におおわれた島には、とうぜん日本人 (日本の領土なんだから) が上陸する。
勤勉な彼らは、農地を開拓し、町をつくり、必然的に赤提灯がともり、ネオンが輝き、やがては歓楽の巷が出現することも必至だ。
わたしがそれまで生きているはずないから、無責任に確約してしまう。

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