湯沢温泉/高半旅館
現在の湯沢に見るものなんかありそうもない。
町のようすは到着した日にざっとながめてしまったし、スキーをやるほど若くもないわたしには、この季節にほかにやることもない。
温泉は宿にあるから、わざわざ見て歩くこともない。
ゆいいつのストリップ劇場は、すでに廃館になったそうである。
町には大正ロマンをかきたてるような射的場が数軒あったけど、パチンコもやらないわたしには、いくらなんでもアナクロだ。
島村が宿泊して駒子さんとしっぼり濡れた宿は、現存する 「高半」 という宿だそうだ。
こういうと語弊がある。
「雪国」 は創作だから、しっぽり濡れたというより、しっぽり濡れた場面を作家が書いた宿ということである。
そんなものを見たって仕方がない。
地図でみるとこの宿は、越後湯沢駅のとなりにできた「ガーラ湯沢」という駅から近いけど、わたしの泊まっているホテルから歩くのは大変そうだし、タクシーで見学に行くほどのこともない。
だんだんいつものわたしのペースになってしまう。
添付したのは左が駒子さんがいた当時、右は現在の高半の写真で、これじゃわざわざ見にいく必要のないことは明白。
小説を読んでもわかるけど、駒子さんはけっして身持ちの固いほうではない。
島村に会うまえにもいく人かの男性遍歴があるようだし、その後も関係をせまる男や、職業上どうしてもおつきあいをしなければならない相手は多かった。
現在の日本には処女の芸者もいるらしいけど、このころの温泉町の芸者はイロイロと多忙だったのである。
そういう女性がひとりの男に尽くしたとすれば、これはやはり純愛といっていいのではないか。
うん、やっぱり男の見果てぬ夢を体現した小説だなと思う。
しかし見果てぬ夢は純粋に小説の中だけの話であって、もちろんわたしには芸者を呼ぶお金も、そのつもりもないのである。
けっして自分に倫理観があるとは思ってないんだけどね。
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