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2016年2月26日 (金)

湯沢温泉/風呂場

Y105b

わたしの泊まったHホテルは、もちろん温泉ホテルである。
建物はボロでも風呂場はけっして汚くはない。
広々していて、お湯も熱くて、アメニティもついて、こういう点は問題がないけど、あまり簡潔にすぎてイロ気にとぼしい。
風呂場にイロ気は必要ないかもしれないけど、露天風呂もあるわけじゃなし、雪がなだれこむ怖れがありますので、窓を開けないでくださいと注意書きつき。
おもしろくない。

それでも風呂場で見たかぎりでは、同宿者が、すくなくても2人以上いた。
誰も口をきかない。
格安ホテルを選んだことを恥じているわけではなく、見知らぬ他人に軽々しく言葉をかけないという、最近の世間の傾向を忠実に遵守しているのだろう。
世相はますます駒子さんみたいな、会ったばかりの男の部屋に、酔って押しかけるような女性の存在を許さなくなっているのだ。

部屋で缶ビールを飲む。
夜中に何度かトイレに行く。
トイレは洋式便座ひとつだけで、これは東京のわたしのアパートも同じである。
しかし、いまやわたしのアパートでさえウォシュレットなのに、雪国のこのホテルはそうではなかった。
冷たいぞ、冷たいぞと念仏をとなえ、覚悟を決めてからお尻を下ろさないと、飛び上がってしまう。
ま、安いんだから文句をいっても仕方ないけど。

深夜に窓から外をうかがうと、街灯の明かりの中に雪がしんしんと降りしきっていた。
ひとりで名作小説を読み、その内容をぐだぐだと分析するのにふさわしい夜だ。
部屋には火が24時間ももちそうな、でっかい石油ファンヒーターがあった。

布団の中で悶々とする。
葉子という娘が島村の部屋にやってきて、いっしょに東京へ連れていって下さいと懇願するシーンがある。
へえ、どこまでモテる男だとやっかみをおぼえてしまう。
ほかの男はどうか知らないけど、すくなくともわたしは、若い娘に懇願されるような状況をいつも夢にみているのである。

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