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2016年4月13日 (水)

富山湾/車窓より

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東京を出るときは雨もようだった。
車窓から関東地方北部の田園地帯をながめる。
わたしはこの地方の出身だけど、あらためて雨の日の田舎道を見て、胸がしめつけられるような気持ちになった。
農家のわきの、なんてことのない農道までが舗装され、雨にぬれている。
それだけの景色が、窓ガラスごしにながめる遠い日の思い出のようだった。
こうやって故郷や思い出を大切にするくせに、現実のわたしは、それに後ろ足で砂をかけるようなことばかりしているのである。
どうしてあんなにひねくれてしまったのだろうと、親戚中から陰口をたたかれているんじゃないだろうか。
忸怩。

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バスは快適である。
座席は横3列で足もとのスペースはゆったり、しかもジグザグに配置されているから、となりの客をあまり気にしないですむ。
運転手は2人が交互に運転するので、どこかの観光バスみたいに山道から転落することもなさそう。
あるんじゃないかと探してみたら、ちゃんと100ボルトのコンセントもあった。
これでUSB端子と無線LANがあればいうことなしなんだけどネ。

雨は長野県に入ったころ止んだ。
左下に佐久平の市街地をながめつつ、バスは正面の山に向かって突進する。
このままではぶつかると思っていると、すっとトンネルに突入だ。
先進国で、しかも山の多い日本では、トンネル掘削の技術がやたらに発達したらしく、じゃまするものはみんなブチ抜いてしまえという発想。
帰りに乗った新幹線もこの技術を遺憾なく発揮していた。
最近読んだネット記事では、ロシアや韓国とつなぐトンネルが話題になっていたけど、いまの日本の技術なら費用と政治的な問題さえ解決すれば、いつでも大陸と地続きにすることは可能なんじゃないか。
山や海が障害にならないのだから、日本の交通網は向かうところ敵なしだ。

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上越インターチェンジで北陸自動車道と合流し、ここから右手に日本海を見ながら走る。
このころには天候は回復のきざしで、バスは日本では普遍的な景色になっている、おだやかで豊かさを感じる農村地帯を走る。
わたしは北陸の郷土色というものを探したけど、このあたりの農家にそんなものを見つけるのはむずかしい。
釉薬をかけて焼かれた黒い瓦屋根がテラテラと輝いているのと、家の背後に関東地方の農家のような防風林が備わってないことぐらいか。
田舎でも大半の建物は、やっぱりグローバル化されたプレハブ住宅が多いようだった。

畑の作物にもとりたてて変わったものは見られない。
水田の中にはそろそろ水が張られたものもあった。
もしかすると見られるんじゃないかと期待していたチューリップ畑なんぞ、この旅でただのいちども見なかった。

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そのかわり(この日は4月5日)サクラがどこでも満開だった。
入善あたりで見た川岸のサクラ並木は、立山連峰を背景にしているということで、ネット上のどこかのサイトで日本の美として紹介されてたような気がする。
あとでここまで写真を撮りに来ようかと思う。

東京からずっと景色をながめて一睡もしなかったわたしだけど、このあたりで右側の海上に青い陸地が横たわっているのに気がついた。
これは能登半島にちがいない。

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