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2016年4月23日 (土)

富山湾/考察

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越中八尾駅を訪ねたさいにどこかで昼食をとろうと思っていたけれど、 駅の近くにあまりわたしにふさわしい食堂がなかったので、富山駅にもどってから、近くの店で回転寿司を食べた。
寿司とくればビールだけど、このあとレンタカーを引き取りに行かなければならないので、おとなしくお茶だけ飲んでいた。
寿司の味については、これぞ富山というほど魅力な店ではなかったので、書かない。
レンタカーを受け取ったあと、ひとまずホテルにもどった。

風呂は16時からなので、それまでホテルのコインランドリーで洗濯をする。
コインランドリーは、女性用は個室になっていた。
なかなかサービスがこまやかなところだ。

時間になったので風呂に入ってみたら、プラスチックのイスの上に、リスみたいにちょこんと座って体を洗っている人がいた。
他人が座ったイスにちょくせつ尻を触れさせたくないらしいけど、こういうのは中国人かもしれない。

013b

湯船にどっぷりと首までつかりながら、立山連峰を眺める。
この位置からだと、山の稜線がこちらが想像していたより高いところにあるのに気がつく。
それだけこの山脈が、富山市から近くて高いということだろう。
こういう山を朝な夕なに眺めていたら、人間のこころになにか深淵な影響があるのではないかと、哲学的思索にふけってみた。
そういうことはぜんぜんありそうにない。
わたしの郷里は北関東で、わたしの家からいつでも赤城山が見えたけど、まわりの人間に共通する因子はまるっきりなかった。
風呂に入って脳ミソが弛緩すると、つい意味のないことを考えてしまう。

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この晩はま夜中に用事があるので、わたしはさっさと寝てしまった。
さっさと寝ると、さっさと目がさめるのは当然だ。
目がさめたのはまだ20時ころだった。
これから夜の巷に繰り出す時間はたっぷりある。
いよいよ富山の味覚の追求かと期待したアナタには申し訳ないけど、わたしはこのあとレンタカーを運転して海岸まで行かなければならないので、お酒を飲むわけにはいかないのである。
けっきょく部屋でカップラーメンを食べ、時間つぶしに「風の盆恋歌」の感想文をひねっていた。

Owara1

わたしは以前、このブログで風の盆について触れたことがある。
こういう祭りを幼少のみぎりに、町屋の軒下で見たことのある人は幸せだというものだった。
だから「風の盆恋歌」という小説も、幼いころに、まだ有名ではなかったこの祭りを見て、なにやらの感慨をもつ男が主人公の物語だろうと勝手に思い込んでいた。
しかし小説のなかに、近ごろこの祭りもだいぶ混雑するという文章がある。
ということは、そんなに大昔のこととも思えない。
あまりむかしの話にすると、主役の2人は不倫の関係というより、老人会のゲートボール友達がふさわしくなってしまう。
これでは本も売れそうにない。
パリや金沢を舞台にしないとオンナの人はよろこびそうにない。
だんだん話が俗っぽくなってしまうけど、売るために原作者もいろいろ考えているのだろう。

本の出版裏話まで考察してみたものの、じつはわたしは風の盆をいちども見たことがないのである。
それなのにこれが主要な背景になっている小説について、ゴタクをいうのは僭越みたいな気持ちもしてしまうけど、ありがたいことに現在はインターネットの時代なのだ。
YouTube には風の盆の映像が、音声つきでたくさんアップされている。
わたしはそれを観たことがあるから、いっぱしの体験者みたいな顔をして、エラそうなことをいっても文句をいう人はいないんじゃないか。

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