富山湾/旅立ち前夜
明日から4〜5日ブログの予定が立ちません。
富山までホタルイカの見物に行ってきますんで。
いちおう無線LANのある宿を予約したんだけど、フロントのすぐ上に行かないとダメだとか、雨が降ってるからアカンとか、あてにならないこともよくあります。
イカだって、あちらにもいろいろ都合があるんじゃないか。
首尾よくいくかどうかは運まかせの旅です。
往路は高速バスにしたけど、富山市まで、東京から6時間半かかる。
若けりゃこのくらいなんてことのない時間だ。
しかし棺桶に片足つっこんだいまのわたしにはきついかも。
むかし中国内陸部の武威から蘭州まで、9時間も路線バスで旅したことがあり、あれもかなりきつかったけど、当時はまだ若くて好奇心旺盛だったからなあ。
でも、ものを考える時間がたっぷりあると考えればいいわけか。
もともと景色をながめている、それもこっちはどっしり座って、景色の方が流れていくという状況が好きなので、たぶんあまり苦にはならないんじゃないか。
バスの中でまたブログ記事でもひねっていればいいんだし。
ああ、だんだん部屋にひきこもっている状態に似てきた。
ところでわたしは富山に行ったことがあったっけ?
記憶をたどってみたけど、上越市から富山市にかけての海岸線はとんと記憶にない。
そっち方面ではっきりおぼえているのは、ずうっとむかし、白馬に登るためと、スキーをするために栂池あたりまで行ったことぐらい、そして4年前に岐阜県側から白山に行ったぐらいだ。
このあたりの日本海を見たような気がするのは、写真や映像で見た景色がごちゃまぜになってるのか、あるいは若いころ読んだ詩が勝手なイメージをふくらませちゃっているのか、どうにもはっきりしない。
富山を通り越して金沢は、これも京都方面から行ったことがあるような、ないような。
兼六園を見たことがあるような、ないような。
福井なら27年前にいちど行ってるけど、これはわたしの友人がそっち方面の山中で排ガス心中をしたためで、あまり楽しい思い出じゃない。
おまえ、認知症じゃないかといわれてしまいそうだけど、どうしてこんなことになるのか。
若いころのわたしは、旅行としてではなく、たとえばトラックを運転したり、陸送のバイトをしたりして、日本中を走りまわっていた。
そんなとき、ついでにあちこち立ち寄ったから、行った場所だけはやたらに多いのである。
しかももって生まれた空想好きがたたって、つねに中空を見つめたまま、ぼんやりと旅行のことばかり考えているから、現実と虚構の区別がつかなくなっているらしい。
困ったもんだけど、今回だけは忘れようがない。
残り少ない人生の節目を飾る旅で、青春時代の記憶と異なり、それをおぼえておかなければならない時間は、もうたいして多くないのだ。
今回も文学散歩をかねて、例の高橋治さんの「風の盆恋歌」って本をバッグの中にぶち込んだ。
すでに目を通して、いい印象を受けなかったから、この本の読者であるうら若き乙女や、不倫願望の有閑マダムを傷つけるのではないかと心配だけど、読書の感想も併せて書いていくことにする。
というわけで、ホタルイカを見るための富山の旅の開始です。
御用とお急ぎでない方だけ、寄っといで。
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