富山湾/すなどり
おお、いつのまにか消滅していたブログの右側の表示がもとにもどった。
これだからパソコンは嫌い。
そんなことだろうと思っていたことはさておいて、ブログの続き。
富山湾の紀行記もあとすこしで終わりだ。
深夜にレンタカーを走らせる。
なんとなくハードボイルドの主人公になったみたい。
ホテルからいちばん近い富山市の岩瀬浜海水浴場まで、車で15分ぐらいだ。
わたしはカメラや三脚、懐中電灯などの重装備を積み込んで出発した。
夜中の12時ごろ海水浴場に着いた。
さすがに人が出ていた。
ホタルイカの身投げは新月の晩が多いそうで、この晩(4月6日)が該当する夜だったのである。
砂浜に、頭にヘッドライトをつけ、たも網をかかえた大勢の人々が繰り出していた。
高級食材とされるホタルイカをただですくおうという人たちである。
月の光のもっとも少ない夜なのでわかりにくいけど、海岸の左手に漁港の防波堤があって、テトラポッドが積まれている。
そのテトラの上にもライトがちらちらしている。
沖には小さな島があるようだ。
ところでホタルイカはどこだ。
わたしも懐中電灯で海を照らしてみた。
砂に打ち上げられたイカなんて1匹もいない。
わたしの想像では、何万というイカが押し寄せて、波打ちぎわに光の帯ができないにしても、せめて10個や20個は光っているだろう。
そのていどでも見られればいいと考えていたのに、この晩はひとつも光っていなかった。
そのうち腰まであるゴム靴をはいた男性が、捕まえたぞーといって、たも網の裾をつかんだまま岸に上がってきた。
さっそく彼の成果をながめに行ってみた。
男性はたも網から小さなイカをはずしてバケツに移している。
ところがそれでもイカは光らないのである。
バケツの中に先客のイカが数匹いて、それも光るようすがない。
なんだなんだなんだ、昼間ミュージアムで見た、あのすなおに光るイカはどうしたのだ。
1時間ほど見物して、とうとうあきらめた。
やはりホタルイカの身投げというのは、本当にまれな現象であるらしい。
都会人が気まぐれに出かけても、幸運の女神に賄賂でも渡さないことには、おいそれと見られる現象じゃないのだ。
ということで、今回の旅の目的はかんぜんに挫折。
でも後悔はしない。
名所旧跡をめぐり、美味しいものを食べるような、たんなる観光旅行に比べれば、未知のものを探求するために行動したというだけでも価値はある。
大事なのは結果ではなく、そこに至る過程なのだ。
ええ、負け惜しみがなん割か入ってますんですが。
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