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2016年4月26日 (火)

富山湾/鯛家

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道の駅新湊でシロエビうどんを食ってきた。
これもいちおう富山の名物かもしれないけど、これで終わりじゃ富山湾の味覚を味わってきたとはいえないのではないか。
ここまで立ち食いソバやカップラーメンは食べても、ホテルの、たぶん豪華な夕食はいちども食べてない。
これで帰京したら、いくら食事に関心のないわたしだって、お粗末な旅行であったことを否定できるものではない。

それで最後の夜、派手にやろうと、ちょいと高級そうな店に繰り込むことにした。
わたしは富山の飲食店についてぜんぜん知識がないんだけど、こういうときにはネットの口コミ情報がある。
口コミの味なんてものを信用しないわたしでも、どこにどんな店があるかという参考ぐらいにはなるのだ。

いくつか目星をつけて、駅ちかくの繁華街に繰り出そうとした。
しかしまだ雨はしょぼしょぼしているし、そこまで出ていくのもおっくうになって、マンテンホテルの地下に「鯛屋」という和風レストランがあるのを思い出し、そこへ行ってみることにした。
どうしてもお手軽な方向ばかりを選んでしまうのが、わたしの性癖であり、このブログの特徴なのだ。

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結論を先にいえば、けっしてあなどれない店だった。
2列のカウンターと、ボックス席がいくつかという店で、カウンターのあいだにある大きな生簀から、ときどき板前さんが、網でタイやカワハギやズワイガニをすくっていく。
店内はけっこう混んでいて、和服の美人がいそがしく立ち働いている。
客はほとんどが、ネクタイをしめた地元のサラリーマンらしかった。

そういえば、この旅ではあちこちで富山の保守的な風土を感じたものだ。
わたしはヒゲを生やし、いつもニットの帽子をかぶっている。
東京ではめずらしくないスタイルだけど、この街でヒゲを生やしている人間はめったにいないし、なんとなく奇異の目で見られている感じがある。
この店でも、ネクタイはたくさんいるくせに、ヒゲやニット帽はひとりもいなかった。
わたしの被害妄想かもしれないけど、異端者を排除しようとする加賀前田藩の保守的伝統はいまでも連綿と続いているようだった。

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わたしは海鮮が好きだから、黒板に書かれたこの日のおすすめというのを読んでみた。
ズワイガニの刺身が6800円だそうだ。
これはまるごと1匹で、とてもひとりで食べきれるものではない。
足の2、3本だけ売ってくれればいいと思ったけど、ダメだそうだから、これだけでも団体さんご用達の店であることがわかる。

けっきょく◯◯セットというものに、焼いた筍を別につけてもらい、銀嶺立山という日本酒を飲んだ。
セットには日本酒3種飲み比べというグラス酒がついていたから、無理にべつの酒を注文する必要はなかったんだけど、それに気がついたのは注文したあとだった。

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このセットは、刺身の盛り合わせ、モズク、ホタルイカの酢味噌あえ、ブリ大根、シロエビの天ぷら、ご飯とカニの味噌汁などである。
ブリ大根については、和服美人がこれは骨まで食べられますという。
この料理の場合、わたしの目的はダイコンのほうにある場合が多いんだけど、圧力釜で時間をかけて煮たらしい。
なるほどと、わたしはブリをきれいに平らげた。
わたしにしてはめずらしいことだ。

※ここに載せた写真はすべてタブレットで撮ったもの。

わたしの口コミなんか参考にしてもらわなくてもかまわないけど、この鯛屋という店は、味について太鼓判を押せる店である。
欠点があるとすれば、客の中にタバコを吸う者がけっこういたこと。
これは店ではなく客のほうの欠点だけど、富山はこういう点では、まだ遅れた地方都市だなと思う。
これも保守の伝統か。

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小食のわたしには、最後に出てきたご飯と味噌汁まではとても食べられなかった。
スイマセン、残しますけど、けっしてマズイというわけじゃありませんからねと、和服のお姉さんにあやまっておく。
千鳥足で部屋にもどって、ベッドにばったり。
ホテルの地下のレストランはこういう点でも便利だ。

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