老人の性
BSで放映された、「鍵」という古い映画を観た。
これは老人の性を描いた谷崎潤一郎の小説を、市川崑が監督した、まあ、まじめな映画である。
いちいちまじめな映画とことわる必要はないけれど、どうもこのころの映画というと、新東宝のピンク映画しか思い浮かばないもんで、ほんと、ませガキだったよな、わたしって、あの頃から。
この映画の冒頭に、医師が人間の老いについて説明するシーンがある。
彼は年とともに人体が老いる徴候を、年令に応じてあれやこれやと説明するんだけど、60では臭いの感覚がにぶり、70で人間の力の2/3を失い、やがて迫りくる老衰は誰も逃れることはできないという。
わたしはまだ70じゃないけど、人間の力を失ったのでは大変だ。
でも気になって調べてみた。
この映画っていつの映画なのさ。
主人公のじいさんは金持ちに見えるけど、台所にはまだ冷蔵庫がないね。
京マチ子さん扮する官能的な人妻が、牛乳を取り出すのは、ただのアイスボックスらしい。
調査の結果、これは1959年の映画であるということがわかった。
つぎにそのころの日本の男性の平均寿命を調べてみた。
調査の結果、59年は65ぐらい(現在は80以上)ということがわかった。
なるほどね。
平均寿命を5年もオーバーすりゃ、だれだって力を失うわいな。
でも現在は平均寿命が80以上ってホントかい?
こないだ鳩ポッポ君の弟が亡くなったけど、あれってまだ60代だぜ。
疑問はさておいて、わたしのいわんとすることは、当時の学説はまったく現代にそぐわないということである。
つまり、わたしはいまだに元気だということである。
谷崎潤一郎にしても川端康成にしても、みんな老いと性について悩んでいたんだねえ。
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