日本のピンチ
恐れていたものがとうとう来たかって感じ。
今日の新聞に、東シナ海で中国の底引き網漁船が大掛かりに活動中で、日本の漁業がピンチという記事。
あまりわたしみたいな凡人には影響がなさそうな出来事だけど、これのどこが恐れていたものなのか。
むかし中国をほっつき歩いていたころ、よく市場を見にいった。
当時(改革開放政策がようやく軌道に乗ったころ)は、市場で売られている魚はほとんどが川や湖の魚で、こういう点では大陸の淡水魚博物館を見ているようで、なかなかおもしろかった。
なんでも食べるといわれた民族にしては不思議なことだけど、どうももともと中国人は海の魚はあまり食べなかったらしい。
わたしが出かけたのは華中から西域にかけてがほとんどだったので、もっと他の地域に行ってみれば事情は変わっていたかもしれないけど、邱永漢さんの本などを読んでも、あまり海水魚に熱意が感じられないのである。
淡水魚ばかり食べていた中国人が、マグロやサンマやフグを食べ始めたらどうなるか。
なにしろ14億の人口(文字通りヒトの口だ)をかかえる国だ。
これがみんな海水魚嗜好に変わり、マグロのトロに舌鼓をうつようになったら、海の魚をめぐって熾烈な争奪戦になるに決まっている。
だから、どうか中国人の寝た子を起こさないようにと、わたしも密かに念じていた。
しかしいまはネットの時代である。
おりしも日本を訪れる中国人の爆買いが話題になっている。
いくら隠しても海水魚のうまさは中国人の知るところとなる。
いったんその味を知ってしまえば、機をみて敏なる中国人がこれに乗り出さないはずはない。
恐れていたこがというのはこのことである。
ケシカランと彼らを責める資格はないのだ。
寿司や刺身のうまさを教えたのはわたしたちなのだから。
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