タイ/第1目標
気をとりなおして、タイについて勉強しておかないと、年寄りには光陰はますます矢の如しで、あ、もう出発まで10日もないよ。
「深夜特急」の主人公(沢木耕太郎さん)は、ほんとうに行き当たりバッタリだ。
バンコクでも観光地にはほとんど興味がなくて、せいぜいワットポーに出かけているくらいで、三島由紀夫の「暁の寺」にはひとことも触れてない。
見ず知らずの土地で下車したり、気がむけば居座ったりする、ヒッピーの鑑のような旅である。
こういう旅もわるくない。
わるくないどころか、むかし中国の西安に出かけたとき、出発まえには有名な兵馬俑のことをぜんぜん知らず、現地に着いてからようやく知ったわたしとよく似ている。
興味があるのは、とにかく街をぶらつくことなのだ。
ぶらついて、なにか崇高な哲学や真理にでも思い当たるならけっこうだけど、そんなことはめったになくて、たいていはヒマを持て余しているのだ。
目的さだめぬ旅枕を理想としながらも、最近ではわたしは出発まえに、現地について徹底的に調査をするようになった。
これは部屋にいながら現地のことを詳しく調べられるという、インターネットの発達のおかげである。
街の移動の仕方や、自分が見たいものがどのへんにあるか、そのていどのことは知っておかないと、現地でまごまごしたり、お釣りをごまかされたり、話のタネを見逃したりして、やはり帰国してから後悔することになってしまう。
そうならないように、机のまえで調査をする楽しみを知ってしまったというわけだ。
わたしの旅は、費用を徹底的にケチる貧乏旅行ではなく、カリマンタンで説明したような、特権階級による、いわばモーム流の旅である。
つまりそこそこ贅沢な宿に泊まり、そこそこ快適な生活をし、いくらか高みからよその国の人々の生活をながめようというのだ。
あまりほめられたものではないけど、誰もが沢木さんと同じような旅ができるわけでもないし、わたしの場合、いまさら現地の人に交わっても得るものは少ないという事情がある。
センチメンタル・ジャーニーならぬ、終活ジャーニーだからね。
録画しておいたBSの「怪魚ハンター」という番組を観ていたら、タイのバンコクが出てきた。
バンコク市内にはチャオプラヤー川という大きな川が流れていて、場所によっては、餌付けされたナマズなどが観光客をよろこばせている。
この番組の中にもナマズが出てきたけど、それよりびっくりしたのは畳2枚分ぐらいある巨大なエイである。
エイって海の魚じゃないの、っていうほどわたしは無知じゃない。
南米のアマゾン川にもエイだとかフグ、カレイ、イルカのような、どう見ても海の住人としかみえない魚が棲息していることを知っているのだ。
わたしはこういうものに興味があるので、バンコクに水族館でもないかと思ったけど、考えてみたら、わたしがいつでもどこでもしているように、魚市場を見にいけばいいだけのハナシではないか。
そういうわけで魚市場の場所もしっかりチェックした。
朝いちで出かけないとダメらしいので、寝坊なわたしはいささかビビっちゃっているけど、タイでいちばんの目標は魚市場で決まり。
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