タイ/ごはん屋
外国に行って、なんで日本食を食べなきゃいけないんだよって声が聞こえる。
大きなお世話だ。
わたしは、こと食事に関しては、いま流行りのレイシストなのだ。
外国の食事を味わうのも知的好奇心ではないかという人がいるかも。
そうかもしれないけど、世間には口コミ情報というものがあふれている。
わたしみたいに、もともと食べることに関心のない人間が、いいかげんなことを書いて、世間に誤った知識をひろめるに忍びない。
だいたい美食の都市バンコクやチェンマイに行って、わざわざ日本食を食べようって人がどれだけいるか。
外国で和食の認知度や普及状況を調べるのも、立派な知的好奇心ではないか。
と、どこまでいっても屁理屈の得意なわたしだけど、このへんだろうと路地の奥をのぞきこみながら歩いて、首尾よく 「ごはん屋」 を見つけた。
もうすこし広い通りに面したところかと思っていたら、車2台がすれ違うのがやっとという狭い通りに面していた。
「御食事処」 と赤い 「ラーメン」 ののれんが下がり、寿司と書かれた提灯がぶら下がって、外から見るとまるっきり日本の居酒屋と変らない店である。
メニューに鉄火丼まであるから、バカにはできない。
日本語わかりますかと訊いてみたら、女の子がめんくらっていたから、会話はあきらめた。
注文した鉄火丼ができるまで、店頭のテーブルに座っておもてをながめる。
店のまえはせまい路地なのにやけに車の往来がはげしい。
自家用車が店のまん前に停まって、運転していたおばさんが窓から前方をうかがっている。
何をしているのと思ったら、路地に駐車中の車が何台もいて、前方から車が入ってくるとすれ違うのがむずかしい。
おばさんが前進しようとすると、そのたびに車が入ってくるので、いつになっても動けないということらしかった。
そんな光景を見てにやにやしているうちに食事がきた。
結果をいうと、鉄火丼を頼んだのはマチガイだった。
米の種類の違いなのか、ご飯がびちゃびちゃしていて、これって傷んでいるんじゃないかと思ったくらい。
それでもご飯には酢が効いていて、残さず食べてもべつに下痢もしなかったから、和食の外国バージョンといえなくもない。
アメリカで焼肉の握り寿司や、アボガド巻きなんか食わされるよりマシかもね。
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