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2016年7月19日 (火)

タイ/散歩

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チェンマイという街は上から見ると正方形の堀に囲まれている。
現在では壁はほんの一部しか残ってないけど、この堀はかっての城郭都市のなごりにちがいない。
日本の城は、城だけが堀に囲まれていて、周辺の街はのっぺらぼうな場所にほっぽり出されている。
しかしこれは日本のほうが変わっているのであって、西洋でも東洋でも、たとえば中国の西安のように、街というものはそっくり城壁で囲まれてるのが普通だったのだ。

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ウィキペディアで調べると、チェンマイの歴史は1296年までさかのぼり、ラーンナータイ王国の首都として栄えたとある。
そんな王国は聞いたこともないけど、壁や堀もそのころからあるのだろう。
飛行機やミサイルの発達した現在では、城壁なんてとっくに無用の長物になってしまった。
しかしその内側には古い時代から街があったはずだから、そういうものに関心のある人には興味深いところである。

チェンマイの正方形は一辺が1キロ半くらい。
このていどなら徒歩か、自転車でまわるにちょうどいいくらいだ。
そういうわけで、メシを食ったあと、まずホテルからいちばん近い堀まで歩いてみることにした。

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ホテルのまえの通りをまっすぐ行くと、4、500メートルで堀に突き当たる。
最初のうちはいくつかの寺院が目についたけど、堀の近くまで行くと、民家の軒先に屋台が置いてあったり、総菜屋が店頭でなにか揚げていたり、油だらけの車の修理屋があったり、どこか東京の下町を連想させる猥雑な雰囲気になる。
東南アジアに共通した人間臭さとでもいうか、正直にいうと、スマートさや洗練を感じないところだ。
外国人が日本に来ると、街のどこにもゴミが落ちてないことに感心するらしいけど、そんな日本人から見るとあまり清潔な街とはいいがたい。
でも、こういうところでもぶらぶらしているのは楽しい。

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突き当たった堀の近くにサウンドーク(SAUN DOK)門という古い城壁の門が残っていて、たっぷりと葉を茂らせた木が道路に影を落としていた。
この門のあたりをうろうろしてみた。
堀の両側は一方通行の車道になっていて、車の往来が激しい。
信号などないし、車はびゅんびゅん飛ばしてくるから、横断するのは命がけだ。
城壁はなくなったけど、車がこんどは人間の通行を阻害する新しい城壁になったというわけである。

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堀はさすがに現代風に改良されていて、噴水が作られ、まわりには芝が植えられ、公園のようによく整備されていた。
堀の外側を眺めると、内側に比べてきれいな建物が多い。
新市街と旧市街だから格差は当然だけど、チェンマイでは堀の外に家をかまえることができて、ようやく人間もうだつが上がったということになるのかも。

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