ジャングル・ブック
ひさしぶりに映画館で映画を観てきた。
とくに観たい映画があったわけではなく、ほんのヒマつぶしのつもりで選んだのがディズニーの「ジャングル・ブック」。
公開されてからだいぶ経つ映画なので、すいているだろうと思ったら、天気がわるくてほかに行き先がないせいか、立川の映画館はけっこう混んでいた。
この映画は、なんでも主役の人間以外はぜんぶコンピューター・グラフィック(CG)なんだそうだ。
漫画家をこころざしたことがあり、SFが大好きなわたしだけど、基本的にこういう映画が好きではない。
スターウォーズにしてもジュラシックパークにしても、現実にいるはずのない生きものが、人間と同時に画面に現れると、もうこれだけでアホらしくなってしまう。
科学に詳しい人なら、緑色の宇宙人や、羽根のはえた恐竜がいるはずのないことを知っているからだろう。
それ以上にCG映画の大半は、子供向けのマンガみたいな内容になってしまったことが大きい。
ジャングル・ブックでは、CGをなぜ叙情的な場面のために使わないのだろうという、わたしの長年の疑問にこたえるような場面がいくつも出てくる。
多種多様な動物たちが池のほとりに集まったり、険しい山腹を移動する動物たちなど、まるでナショナル・ジオグラフィックから借用したような美しい光景である。
あちらのCGプログラマーもちゃんとわかってるらしい。
この映画に登場する動物はすべて実在するものばかりだ。
中にはゴリラより大きなオランウータンや、アフリカゾウにしか思えないインドゾウも出てくるけど、このていどに目をつぶれば、ほんとうにインドの奥地を舞台にしているような錯覚にひたることができる(原作の舞台はインド)。
であるからして、これは博物学に興味のある人には、まあまあおもしろい映画だ。
もちろんCG映画の定番どおり、ハラハラさせて、間一髪で危機をのがれるというご都合主義も目立つけど、いつもわたしのことをオタクといって馬鹿にする、いっしょに行った知り合いも身を乗り出していたし。
この映画を観ていて思ったこと。
ジャングルの中にはいろんな動物がいるけど、種類の多さや、かたちの複雑なことでは、とても海の中にはかなわない。
今度はひとつ、「オーシャン・ブック」なんて映画をつくって、本物の海の中の冒険映画を作ってくれないか。
「ファインディング・ニモ」があるじゃんといわれるかもしれないけど、あれは登場人物?がデフォルメされたマンガみたいなキャラばかりだ。
わたしがいうのは、じっさいの生きものをそのままCGで再現して、それと人間がまじわる話である。
そのさい、ここだけは科学の法則を無視して、人間がイワシくらいの大きさになっていれば完璧だ。
海の中はきびしい生存競争の世界だし、汚染や資源枯渇など問題も多いのだから、スリルいっぱいで、いろいろ考えさせられる映画ができることは間違いがない。
こんなことを考えたのは、昨夜放映された「深海大峡谷」という番組の影響かもしれない。
これは深海に棲む奇妙な生きものを捉えたドキュメントだったけど、わたしは美しくきらめく発光生物や、ものすごい牙をもった深海魚のあいだを、ひらりすらりと泳ぎまわれたら愉快だろうなあと、いつも空想しているのだ。
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