タイ/空港までの足
バンコクに到着したとき、大渋滞に遭って、この街ではタクシーがあてにならないことがよくわかった。
帰国する日、のんびり出れば渋滞して飛行機に乗り遅れるかもしれないし、早く出ればたまたま順調に着いて時間をもてあますかもしれない。
どっちにしてもうれしくない。
確実なのは鉄道を利用することである。
バンコク市内にはメトロ(MRT)、スカイトレイン(BTS)、エアポートレイルリンク(ARL)などの鉄道があって、これを乗りこなせれば空港まで渋滞の心配はないし、バンコク市内をぶらつくのにも便利である。
そういうわけで、この日の午後は観光よりもまず、鉄道を乗りこなすための習得にあてることにした。
地図をにらむと、ホテルから空港まではわりあい便のいい場所にあることがわかる。
ホテルからいちばん近いBTSのプロムポン駅まで500メートルくらい。
そこからひと駅だけ乗って、となりのサンクという駅まで行くと、スクムウィットというメトロ駅と接続している。
スクムウィット駅からメトロでまたひと駅だけ行くと、ARLのマッカサン駅だ。
ARLの終点が空港なのである。
これをじっさいに体験してみようと、またホテルを出た。
時刻は午後の3時ごろで、プラムポン駅までぶらぶら歩く。
あらかじめ調べておいた情報によると、BTSに乗るには、自動券売機で専用のカードを買うのだそうだ。
しかし駅に着いて券売機を目のまえにしても、すぐには要領がわからなかった。
券売機に硬貨を入れる穴はあるのに、お札を入れる場所がないのである。
うーむと悩み、カードを駅員からちょくせつ買おうとして、券売機ではなく窓口で紙幣を出したら、両替をしてくれただけだった。
それでも両替をしてもらって硬貨を手にすれば、あとはそれほどむずかしくない。
タッチパネルで行き先の駅名を押し、表示された料金を投入するとカードが出てくるので、それを改札機の所定の場所に挿入するだけ。
BTSにひと駅だけ乗って、となりのサンク駅で下車し、ここでメトロに乗り換える。
メトロの駅はスクムスィット駅になるけど、ここでは入り口で不審物のチェックがある。
ネコはなんのためにいるのかわからない。
乗り方はメトロも基本的にはいっしょで、タッチパネルで行き先を決めたあと、料金を入れる。
入れたのにお釣りがじゃらじゃらと出ただけで、なにも出てこない。
考えこんでいたら、うしろに並んでいた娘が排出口をまさぐってくれた。
出てきたのはシングル・ジャーニー・トークンという黒いコイン状のもので、これが暗い排出口に出てくるのだから、老眼ぎみのわたしには見えっこない。
メトロにまたひと駅だけ乗ると、つぎの駅はARLのマッカサン駅と連絡している。
マッカサン駅はメトロの駅とすこし離れているけど、高架鉄道だから地上に出ればすぐわかるし、専用の通路もある。
ここまで来れば空港までもわけはない。
この日はARLに乗る必要はなかったけど、後学のためにひと駅区間だけ乗ってみた。
今度は赤いトークンで、あとはいっしょ。
ひと駅だけ乗って、ホーム反対側の列車で引き返すことにした。
やって来たのは赤いラインのエクスプレスで、来るときはすいていたのに、これは猛烈に混んでいた。
空港まで、各駅で行っても20分ぐらいだから、無理にエクスプレスに乗る必要はないのに。
プロムポン駅までもどってきて、出ようとして改札機にカードを挿入したら、前の客がなにか問題が生じたようで、出かかってまごついた。
彼はなんとか出ていったけど、それっきり改札が閉まってしまった。
わたしのカードはすでに挿入済みでもどってこない。
これでは出られない。
駅員に説明したらこういうことはよくあるようで、なにもいわずに通過させてくれた。
これで帰る日の交通だけはなんとかなる。
問題があるとすれば、タイの硬貨に不慣れなわたしは、券売機を使うときどうしてもきっちりとした料金を用意できず、お釣りがたまって仕方がないということぐらい。
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