むかしのはなし
「寒い国から帰ってきたスパイ」という古い映画を観たとき、英国の女性はさえない中年男をすぐに好きになっちゃうのかなんて突っ込みを入れた。
じっさいには、さえないといっても、男は優秀な諜報員の世をしのぶ姿。
図書館で働く女との会話の中に、この狼男の本を毎月のように借りる人がいるのよといわれて、満月の晩かいと当意即妙のユーモアをはさむだけの才覚があった。
これで女はしだいに男にひかれていき、うちに夕飯を食べに来ないなんて関係になっていく。
と、そこまで。
これ以上書くとネタバレだから、話をぜんぜん別の方向に持っていく。
女性から家にゴハン食べに来ないと誘われるなんて、うらやましいことである。
わたしの場合、すぐに目をぎらぎらさせて男の本性をあらわすせいか、なかなかそんなことをいわれた経験がない。
そう思ったけど、いや、よく考えたら、あるね。
晩飯を女性の家でご馳走になったって経験が。
ただ男の場合はそういうことをすぐに忘れてしまうものらしい。
男というのはつねに未来の希望、つまり新しい女を求めているものなので、過去の栄光のほうに目が向かないのだ。
自分の青春は悲惨なものだったなんてぼやいているくせに、わたしにだって多少はイロっぽい過去があったのである。
・・・・話はこれでおしまい。
なんだなんだというなかれ。
今日はおろしソーメンを食べた。
ダイコンおろしでソーメンを食べるアイディアは、たしか女の家で初めて教授されたもので、ふられてまたひとりにもどってからも、あまり食欲がないときのわたしの手軽な食事になってるのだ。
うん、イロ気よりも食い気の思い出かなあ。
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