妖精たちの森
マーロン・ブランドが主演しているということで興味を持った「妖精たちの森」という映画を観てみた。
ブランドが主役というだけでおわかりのように、かなり古い映画(1971)である。
若いころのブランドは男も魅了する役が多かったけど、後半の彼は変態専門の役者になったようなところがあるから、さて、どんな映画かしら。
以降の文章はネタバレになるけど、ネタがバレてもおもしろいという映画は存在するから無視。
この映画には「回転」という後日談があって、そっちのほうが先にあり、「妖精たち」のほうは、後日談のちょっとあいまいな部分を説明する映画になっている。
つまり英国の郊外にある屋敷に、なぜ幽霊が出るのか、どんな因縁があるのかということの種明かしになっているのである。
これは一種のホラー映画なのだ。
この屋敷には幼い姉弟が暮らしている。
彼らの両親は事故で亡くなり、後見人だった叔父も、扱いにくい子供たちをもてあましてロンドンへ帰ってしまった。
屋敷に残ったのは子供たち以外に、家をまかされている年配の家政婦、粗野な使用人であるクイント、若い女性の家庭教師だけ。
ブランドの役はこの使用人クイントで、幼い姉弟に乗馬だとか、凧揚げ、弓の撃ち方、カエルの捕まえ方、夜更かし、大人のからかい方などいろんなことを教えている。
女性教師は言葉使いや礼儀など、たてまえの部分を教えるのに対し、クイントのほうは人生の本音の部分を教えるといっていい。
もちろん子供たちはクイントのほうが好きである。
クイントは女性教師を暴力的に犯しており、体面を重んずる教師は秘密にしているものの、ふたりは愛人関係にある。
幼い姉弟はこのことを知っていて、お気に入りのクイントと教師の仲をとりもとうといろいろ画策する。
しかし、やがてクイントと教師の関係は、家の実権をにぎる家政婦に知られることとなり、ふたりは屋敷を解雇されてしまう。
このあと子供たちは異様な行動に走るのである。
死者はあの世で愛しあっているんだよと教え込まれた姉弟は(クイントは一般的な意味でいったにすぎないのだけど)、別れ別れになるクイントと教師をあの世でいっしょにしてやろうと、これはもうお節介というかなんというか・・・・
わたしはこの作品と、後日談にあたる「回転」の両方を観たけど、「妖精たち」のほうがおもしろかった。
登場するふたりの子供が、どういうわけか前日談にあたる「妖精たち」のほうが年長に見え、なおかつ姉を演じるヴァーナ・ハーベイという子役がやけにませていて(経歴をみると彼女はこのとき9歳)、いじわるな妖精のようで、ひじょうに魅力的だったから。
映画の終わりでは、新任の家庭教師のまえで、姉弟が意味深な笑みを浮かべる。
後日談の「回転」はここから始まるんだけど、そちらは子供たちが幼すぎてあまりおもしろくない。
話がややこしいけど、後日談にあたる「回転」は、前日談にあたる「妖精たち」より10年もまえのモノクロ映画で、当時は子供が魅力的すぎておとなをたぶらかすのはイケナイなんて、やぼな映倫の規則があったのかもしれない。
ゾンビが100匹も登場するわけじゃないけど、わたしにとって「妖精たちの森」は、ちょっと異常な姉弟に見とれているうち、最後に衝撃的な結末を迎えるという、なかなか見ごたえのあるホラーだった。
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