雪まつり/ホテル
わたしの今回の雪まつりは、交通と宿だけを旅行会社におまかせしたフリーツアーである。
こういうツアーでは、望むと望まないとに限らず、けっこう立派なホテルに当たる可能性が高い。
わたしが札幌で泊まったホテルも、個人旅行だったらとても泊まれないような格式の高いホテルだった。
どのくらい格式が高いかというと、わたしはこの旅に底の厚い登山靴もどきで出かけたんだけど、そんなものを履いて食事や風呂に行く気になれないから、部屋履きのスリッパでぺたぺたと出かけた。
するとやんわり注意されてしまった。
けっ、お高くとまりやがってというほどわたしは非常識じゃないけど、まあ、このくらい行儀にやかましいホテルなのである。
わたしは山小屋でも、中国の奥地の安ホテルにでも平気で泊まる人間だけど、歳をとるとこういう豪華な宿もわるくない。
ヘタに民宿なんかに泊まると、宿の人間との距離が近すぎて、ほうっておいてほしいわたしみたいな人間にはかえって迷惑だ。
ホテルでいちばん気に入ったのがスパ、つまりお風呂で、いったいできてから何年たつのか知らないけど、施設全体が新しく、大きなな浴槽からは終日熱い湯があふれていた。
20人は押し込められそうな、室温85度の本格的なサウナもある。
風呂から上がると、ごろりと横になって休息できる休憩室もあり、バー・カウンターもあって、つねにウエイターが控えている。
わたしもどこかのセレブになったつもりで、冷たい飲み物を注文して休憩した。
レモンスカッシュを飲みながら考える。
むかし群馬県の草津温泉に行ったとき、クーアプラザ草津という豪華な温泉施設に入ったことがある。
そこで働いている若い娘が、わたしのことを金持ちの御曹司とカン違いして、しきりに自分を売り込んできたことはこのブログに書いたことがあるけど、そんなことはどうでもいい。
問題はクーアプラザ草津がその後つぶれたことだ。
そもそも豪華なわりに客が少なかったから、当時からわたしは心配していたのだ。
わたしが泊まった札幌のホテルも似たような感じである。
館内にはアジア系の観光客がいたるところにいたけど、いくら海外からの観光客が増えているご時世だといっても、ここはちょっと入れ物が大きすぎる。
スパにしてもわたしひとりの貸し切りみたいなことがよくあった。
無関係なわたしが心配してやる必要はぜんぜんないけど、経営者の勝算について考えてしまう。
考えるといったら、もうひとつ。
こんなホテルに泊まるのは、苦労してそれなり成功した人か、現在進行形で苦労している人がふさわしいんじゃないか。
すくなくとも家族で協力しあって、このせちがらい社会を生き抜くために頑張っている人たちのためのものではないか。
わたしみたいな道楽者がえらそうに寝転んで、飲み物なんか飲んでいていいんだろうか。
すぐにつまらないことを深刻に考えてしまう性格ってのは、親を大事にしなかった祟りかしら。
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