また慰安婦
あいかわらず朝日新聞が慰安婦について取り上げている。
それも10面全部のでっかい扱いだ。
またかいというところだけど、今回は趣向を変えて、朝日新聞の肩を持つような書き方をしてみよう。
ひょっとすると朝日新聞も慰安婦捏造について謝罪したいのだが、リベラルを標榜している立場上なかなかそういうことができないので、苦心の末にひねくり出した記事かもしれない。
その記事は「慰安婦問題を考える」という特集である。
登場するのはウツミさんという名誉教授さんほか2名。
彼女は東京裁判の資料をまとめ、90年代に、もと慰安婦の証言を聞いて衝撃を受け、せっせと研究して、2011年にその成果をまとめたとある。
あとで出てくるスズキさんもそうだけど、こういう研究はもっとむかしにさかのぼってやらないと、虚実入り混じって、ほんとうのところはなかなかわからないものだ。
そもそも東京裁判は、戦勝国による私怨をはらすための裁判で、公平とはいえなかったと問題にされている裁判だ。
朝日新聞もつねづねそう考えていて、いまごろになってそれを暴露するために、今朝の記事を書いたのかもしれない。
東京裁判の資料と書いただけで、もうこれは本気にされては困るんですよと、読者に暗に警告しているようなものだから。
つぎの文章は、今朝の朝日新聞の記事からのもの。
東京裁判で検事から追及された日本軍の法務局長は、戦地で強姦が多発していたことを認めた。
陸軍部隊の戦友会報には、地区の婦女子の安全を守るために慰安所を開設したとある。
こんな文章を読むと、慰安所というのは、日本軍が性暴力の蔓延をふせぐために設置したものであることがわかる。
慰安所の設置でどれだけの女性が兵士の暴力から救われたことか。
ウダガワという大学講師さんは、裁判資料から性暴力の記述がたくさん見つかるのですかと訊かれ、いえ、むしろ逆ですと答えている。
ということは性暴力はあまりなかったと考えるのがフツーだけど、裁判の判決にはいきなり性暴力や残虐行為が出てきてしまう。
するとこれをもって、日本軍はいわれているとおりの暴力軍隊だったと結論づけてしまうのだから、裁判もウダガワさんも調子がよい。
朝鮮や台湾の被害が裁判でほとんど取り上げられなかったというけど、どんな時代にも侵略だ征服だを繰り返してきた西洋では、戦争で男が女を犯すのは当たりまえすぎて、問題にならなかったということかもしれない。
それがいいことだとはいわないけど、過去をほじくり返すには、その時代を正しく知ることが必要だ。
そういうことを認識させてくれたというだけで、今日の朝日は読みごたえがある。
インドネシアでオランダ人女性を慰安所で働かせていた件では、そのことを知った日本軍司令部はただちにそれを閉鎖させたという。
ただちに閉鎖させたと書くあたりに、朝日新聞の善意がよくあらわれている。
勝ちにおごる馬鹿はどこにでもいるもので、そういう馬鹿を例外とすれば、全体としては日本軍は規律にきびしい軍隊で、女性の尊厳を守るためにいろいろ気をつかっていたということではないか。
その馬鹿は現地の裁判でしばり首になったそうだから、戦争裁判の本質がどんなものだったかもよくわかってしまう。
スズキという講師さんは2013年から慰安婦の聞き取り調査をしているそうだけど、この年からとわざわざ書くところに朝日新聞の善意が感じられる。
いまから4、5年前では、もう慰安婦が話題になっていて、いろんなおもわくが交錯しているころだ。
これでは調査の結果を信用するのは危険ですよと、新聞がわざわざ警告してくれているようなものではないか。
読者は新聞のこうした隠れたヒントを読み解かなければいけない。
この特集にはドイツの研究者も出てくる。
ロシアに侵攻したドイツ軍にも慰安所はあったとかなんとか。
その仕返しなのかどうか知らないけど、ベルリンの女性(赤ちゃんとおばあさん以外)は敗戦時に、進駐してきたロシア兵に徹底的に蹂躙された。
ようするに基本的な問題として、男は女を欲する動物だということを理解しないかぎり、問題の解決にはならないのである。
慰安婦のことで日本やドイツをいくら責めたって、世界中で勃発する戦時下の性暴力をとめることはできっこないのだ。
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