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2017年3月 3日 (金)

雪まつり/ゆとり

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午前中からずっと歩きっぱなしだし、ほかに行くところもないので、札幌ラーメンを食ったあと、午後の3時ごろにはホテルにもどってきてしまった。
ホテルにもどってなにをするかというと、洗濯である。
わたしは大きな荷物をかかえて旅をするのがキライで、下着は必要最小限しか持たないから、旅に出るとたいてい洗濯をする。
海外では風呂場に腰をおろして洗濯ばあさんだけど、今回泊まったホテルにはいちおうコインランドリーが備わっていた。

洗濯機をまわしているあいだに、夜中に目がさめた場合にそなえて、ホテルの近所にカップラーメンや缶ビールの買い出しに出る。
帰りにちらっと見たら、ホテル内のパン屋で可愛い娘が働いていたから、ケーキをふたつばかり買う。

そのあとはまたスパに入る。
まだ明るいうちだから、アジア系の観光客たちはみんな観光に出かけていて、大きな風呂場はわたしの貸切みたいなものだ。
あー、シアワセと、でもわたしの知り合いにはこういう楽しみを理解しないのが多くて困る。
せっかく来たんだから観光をしなければもったいないと、寸刻を惜しんで名所や旧跡を見てまわろうとする。
なんでそんなにくたびれたがるのさ。
旅というものは、日ごろのうさを忘れるためのものだ。
旦那を迫害する女房の魔手からのがれて、このときとばかり部屋でごろごろという発想が出てこんものかねえ。

風呂から上がったあと、乾燥機で気持ちよくかわいた洗濯ものを手にして部屋にもどる。
あとはもう完璧にひきこもりで、部屋でのんびり本を読んだり、文書を書いたり、ブログの更新をしたりする。
下着は最小限でも、タブレット、iPod、アクションカメラなどの電子機器をふんだんに持ち込んだのは、こういうことをしたいからだ。

ただのニートじゃねえか、つまらねえ人生だなという若者もいるだろうけど、干からびたじいさんの趣味としてはなかなかのものではないか。
つまらねえと馬鹿にする、いま元気のいい若者のゆく末を見てみたいものだ、フン。

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いったい、つまる人生とつまらない人生とはどこがちがうのだろう。
わたしの知り合いには、若いころ、これだけの数の女を転がしたと自慢する男がいた。
そんな絶倫がいつまで続くわけはないし、かってハンサムだった彼は、現在は肥満気味で、高血圧をかかえて、ほかに趣味もなく、老後の毎日をヒマでしょうがないとこぼしつつ過ごしている。
むかしが華やかであればあるほど、年老いてからの虚しさも大きいんじゃないか。

虚しくってもいい、わたしもそんなモテモテ男に生まれたかったという気持ちもないじゃないけど、こればっかりは天性で、個人の希望でどうなるものでもない。
人間贅沢ばかりいってればきりがない。
石川啄木は26歳で死んだけど、世間から詩人として評価されているし、みじかい彼の人生はそれなり充実したものだった。
30代の後半に心中自殺をしたわたしの友人でさえ、結婚して子供をつくり、あげくによその若い娘と手に手をとって死んだのだから、その人生はわたしより充実していたように思える。

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けっきょく人生なんて、与えられたものをいかに満足して過ごすしかないんじゃないか。
そうでも思わなけりゃやってられんよ、わたしみたいなのは。
現状に満足しているんだから、これ以上の不満をいうのはよそう。
わたしは旅の最終日に、昼の飛行機でさっさと東京にもどった。
なんか物足りないという人もいるかもしれないけど、雪まつりを見るという当初の目的は達したのだから、わたし個人的にはなにも不満はないのである。

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